PiPi's World 投稿小説
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No29-2009/12/10 21:34
男/白いフクロウ
831P-OtmwnKgP
 『結婚しようよ、というのは、髪が』
 言い終わる前に、ピンポンのベルが鳴った。いち早くボタンを押した山本が、意気揚々と答える。
 「肩!」
 『正解です』
 「よっしゃ!」
 ガッツポーズをする山本を、前田は悔しそうに睨んだ。
 ここまで山本は9問をクリアしていた。あと1問で優勝となる。
 『では、第17問』
 アナウンスが促すと、二人ともが早押しの構えをとった。一言一句聞き逃すまいと、真剣な形相でカメラを見ている。
 前田も優勝までリーチの9問正解。事実上の最終クイズと言えた。
 負けられない戦い。その最後のクイズが読み上げられる。
 『県庁所在地で唯一ひらがなの埼玉県、さいたま市。その合併前の市は浦和市、大宮市、与野市』
二人がほぼ同時にボタンを叩き、ピンポン、とスタジオに響いた。
ランプが点ったのは──

「ランプ」で。
No28-2009/12/09 15:18
女/さよひ
F02A-Og4UHHIs
数秒後に気づくだろう。

君がそれを見るのは僕の部屋を出てからだろうから。

喜び?驚き?それとも嬉し泣き?

「ちょっとそこまで買い物」を口実に君の車に置いてきたんだ。

ほら、駆け足で階段を駆け上がってきた彼女

袋の中にある箱とその中のもの

僕からの贈り物


『結婚しよう』



初投稿です。よろしくお願いします。
と、いうことで次は
結婚しよう
になります。お願いします。
No27-2009/11/25 19:11
女/Dyuo
CA37-qlSCItH2
「泣いたのは悲しいからじゃない。あなたが泣かないからよ」
ドラマでよくあるセリフを吐いて、彼女は苦しそうに顔を歪めた。
数時間前には笑顔で俺の背中を押してくれた彼女。その彼女が、今は俺の心情を察して泣いている。

「どうして俺なんかの為にそこまでしてくれるの?」
涙の代わりとでも言わんばかりに、俺の口からは弱々しい言葉がこぼれ落ちた。
「大切な……友達だからに決まってるじゃない」
「友、達?」
「そう、友達」
『もうっ、何度も言わせないでよ』とぼやきながら、彼女は涙の跡が残るその顔でニッと笑ってみせた。
何故だろう、胸の奥がツキンと痛む。
あぁ、そうか。もしかして、俺……

伸ばした手が、彼女を捉える。
俺の腕に抱かれながら彼女が大粒の涙を流すのは……ほんの数秒後。


久々に参加させて頂きました。
次は『数秒後』でお願いします。
o(_ _*)o
No26-2009/11/24 23:17
女/海東
933SH-2mpfWEF.
黙って見送ったその背中があまりにも細くて。
私から逸らした瞳が切なく光る。

こぼれ落ちそうな涙に気づいた瞬間、
衝動的に、彼の背中を抱きしめた。

「…めろ」

拒絶する声に抗う強さはなくて。

「やめろよ…もう俺ら、そんな関係じゃ、ねえだろ…」

力強い声が、このときばかり掠れ、
突如別れを切り出した後悔に襲われる私。

「…ねえ…泣かないでよ」
「離せよ!!」

車に乗り込み急発進する彼。
ただ茫然と見つめていた。

私は、泣いた。

>>初参加で駄文失礼しました(^-^;
次は「泣いた」でお願いしますm(__)m
No25-2009/11/22 20:39
男/セルヴォ
CA3B-qUix5GOD
「馬鹿みたいだな、オレ。
……本当に大切なものはすぐ近くにあったのにな」

そう言うと彼は自嘲気味に笑った。

「……なあ、−−まだ間に合うかな?」

「−−そうだな、私は『間に合うか』じゃなくて、『これからどうするか』の方が大事なんじゃないかなと思うが?」

「……そうだな。
……行ってくる」

「ああ」

そして私は席を立った彼を、黙って見送った。

次は「黙って見送った」からで。
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