PiPi's World 投稿小説
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No24-2009/11/22 12:26
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HI3F-gwhlfJhs
「『その日まで』じゃないでしょ。」

「え?」

唐突な夫の一言に、私は首を傾げた。


―大切な命が宿る、まだペタンコな腹の丸みを撫でながら、「大きくなってきたらさぞかし不格好」「女としての魅力がなくなる」‥そんなことを嘆き、「腹が大きくなる『その日まで』、女として見て欲しい」と訴えていたのだが。


「だから、『その日まで』じゃなくて、『その日から』。その日から、また新しいお前が見れるんだろ。俺は母としてのお前を見るの、楽しみなんだけど。」

ああ。終わりじゃなくて始まりなんだ。なぁんだ。私は輝くばかりの、満面の笑みを浮かべて、言った。

「そうね。私ったら、馬鹿みたい。」

次は<馬鹿みたい>から。
No23-2009/11/13 23:02
男/フロムポスト
CA38-kJEqyDBA
次は「その日まで」でお願いします。

>髭さん
いつもありがとうございます。

>桜井さん
許す許さないではなくて、彼女目線を書いてくれて嬉しい場合は、どう答えれば良いのでしょう。
とりあえず、ありがとうございます。


補足
髭さんやぼくが書いた途中に出て来る英語は、ザ・ピロウズというバンドの曲の一つ、ハイブリッド・レインボウの一節です。
とても良い曲ですので知らない方は聞いてみて下さい。
No22-2009/11/13 22:57
男/フロムポスト
CA38-kJEqyDBA
私は思わずにはいられなかった
だからこそ聞いた
後を追うのかい? と。
「ぼくの命よりも大切な存在だったんです。それを失った今のぼくの命に、何の意味があります?」
パシンと、音が響いた
何の音なのか最初は分からなかったが、自分の振り切った腕を見て、私が彼の頬を叩いた音なのだと気付いた
「彼女はそんな事を望んで死んだのか」
静かだが確かな迫力のある声
そんなものを何処に持ち合わせていたのか、自分でも分からない
叩かれて横に向いた顔のまま彼は答えた
「本当に、本当に大切だったんです。大切で大切で…」
「知っているよ。君には何よりも彼女が大切だった」
そしてそれは彼女も同じだった
だからこそ彼女は私に遺言を残したのだ
先生、彼はとても弱い人です。彼に私の後を追わせないで。と
「ここは途中なんだ。君が彼女の虹を感じられるまでの途中だ」
「命より大切な物を失って、それでも生きろと?」
「違う。ただ君の限界はここじゃないと言いたいんだ」
それ以上の言葉は不必要に思えて私は彼から離れた。
私は彼を見守ろう
私がCan you feel that hybrid rainbow?と問いた時に
彼がI can feel.と答えられる、その日まで
No21-2009/11/12 01:05
男/髭
SN3K-L19wGSiz
フロムポストさんのスピンオフばかりで参加してすみません。
次は少しながく「私は思わずにいられなかった」で。
No20-2009/11/12 01:02
男/髭
SN3K-L19wGSiz
願い込めても彼女は死ぬし、彼は生き続ける。冷たくなった身体は残るし、彼の彼女を想う気持ちは、どこかへ消えてしまうんだろう。
「先生、なんとかならないんですか」
彼は言う。『願いは祈りに似ている』。彼が泣き出すように言っていた顔には、そんな言葉が似合う気がした。

「彼女は死ぬんです!でも、でも……!」

彼女はいつ死んだっておかしくない状態だった。まだ生きていることが不思議なくらい。
人ってやつは、不思議だ。ここぞって時に見計らったように奇跡を起こす。彼女がまだ生きているって奇跡は彼に何かを起こす為に起きている、なんてそんなドラマチックなことを考えずにはいられない。
「精一杯のことはします。だから。だから貴方だけは、彼女の味方であげて下さい。彼女自身がなんと言おうと、必ず」
私はそれだけ言うと、彼の肩を軽く叩いて診察室を出た。暗く光る廊下には、私の身体と顔が写っている。
「can you feel...?……か。私は、あの子達の様に笑えていただろうか」

身を焦がすように彼女の身体だけを案じる彼と、生命よりも彼の未来を案じ続ける彼女。感じ入るだけの二人の物語を紡ぐ奇跡が起こればいいと、私は思わずにいられなかった。
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