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No701-10/05 02:30
白いフクロウ(811SH)
「幸せ、か」
ふと窓の外を眺めながら、まどかが呟いた。
「? なにそれ」
「いやね、『ドレミの歌』ってあるじゃない?」
「あるね」
まあそれくらいなら歌に疎いぼくでも知っている。
「あれの歌詞の意味って、なんなのかしら」
「?」
「いーい? でてきたものを順番に並べると、ドーナツ、レモン、みんな、ファイト、青い空、ラッパ、んで最後に幸せよね?」
そうだがそれがどうしたのだろう。
「それで?」
「それらを繋いで物語にするなら、こんな感じよ。『賞品はドーナツとレモン! さあみなさんファイトです。あの青空にむかってラッパを吹いて、一番うまいかたが幸せを手にするのです!』みたいな」
……アルプスかどこかの山で、空にむかって一斉にラッパを吹く男の集団が頭に浮かんだ。もちろん傍らの机には、賞品のドーナツとレモンが山積みだ。
「なにやってんだろね」
「そのドーナツとレモンは肺活量が著しく低下した人も歌いましょうっていいだすほど美味しいのよ」
実は二番のほうが支離滅裂だと教えてみようかと思ったけど、やめておくことにした。
「……ドーナツ食いたくなってきた」
『ドーナツ』で。
No700-10/04 21:22
紫煌(P700i)
『離れているよりもずっと、逞と一緒にいたい』
あの約束を覚えているよ。
子供の頃、あの陸橋の下で四ツ葉のクローバーを探したね。
探しても探しても結局見つからなくて泣いたキミを、僕は抱き締めた。
そして、キスをしたんだ。
「大人になったら僕のお嫁さんになってください!」
自分が20歳まで生きられないことを、知らずに―――。
守れない約束をしてしまったよ。
キミは知っていたんだね。
知っていて今まで黙ってきたんだね。
ずっとずっと、好きでいられると思った。
だけど駄目なんだ。
これは繭のため。
こんなに好きなのに、キミを残して死ぬ未来を思うと可哀想すぎて。
だからキミは、他の誰かと幸せになって。
僕では駄目なんだ。
こんな役立たない心臓でも、一生懸命ドキドキしているのに…っ!
今までありがとう。
さよなら。
僕は
僕は
……っ…
キミに出会えて、僕は幸せでした―――。
『僕の初恋をキミに捧ぐ』の二次創作です。
気分を害した方がいらっしゃいましたら、申し訳ございません。
次は『幸せ』で、よろしこ。
No699-10/03 13:31
とものり(SA35)
「っっした!!」
トンボ(グラウンド整備の器具)片手に汗を拭う僕の前で、後輩が深々と頭を下げた。 きっと礼を言ってるつもりなんだろう。
「別にいいよ」
なんだか恥ずかしくなった僕は、後輩を避けて歩き出しながら言った。
だって最後まで自主練してたのが僕ら二人しかいなかったから、整備を手伝ってあげただけのこと。
先輩だからって後輩に整備を任せるようなやつは人間失格だ。
「先輩。自分、上手くなりましたかね?」
後ろから追い掛けてきた後輩が、可愛い声も台無しな口調で言う。
「当たり前だろ。誰が教えてると思ってんだ」
「先輩っす!」
目を逸らしていてもはっきりと分かる。 きっとこいつは、満面の笑顔だろう。
「先輩、推薦で高校決まったそうっすね」
「ああ、中央高校。」
「野球やるんすか?」
「もちろん」
そう言うと、タタッと後輩は駆け出して僕の前に立った。
「先輩! あたし、中央高校行ってマネージャーやります!」
僕はその場から動けなくなった。
体も、視線も。
可愛い後輩から、目が離せなくなった。
……「離」からでお願いします!
No698-10/02 21:32
リンク(P902iS)
>697より
『趣味』の欄に、さて何と書いたものか…僕は暫く思案した。『読書』とか『映画鑑賞』なんて平凡だ。サッカーとか野球、なんて書いてはウソになる。そもそも運動があまり得意じゃない。
『人間観察』とか『空想』…はどうだろ?確かに趣味と言えば趣味なんだが、新しくクラスメートになった連中はどう思うか…。暗いヤツだ、と見られる程度ならまだしも『変なヤツ』なんてレッテルを貼られたら深刻だ。
平凡なのを我慢するか、ウソでやり過ごすか…。それとも、周りの目を気にせず自分を貫くか。
『自己紹介シート』と記された用紙の前で、僕は長い煩悶の時を過ごした。
Next→『した』で続けて下さい♪“下”とか“舌”でも構いません(^-^)b
No697-10/01 20:40
F.M(TS39)
「略式だが、まぁいいだろう」
ショウコさんはそう言って椅子にドサッと座り込んだ。
「ありがとうございます」
僕は目一杯頭を下げた。今のうちにお礼をしとかないと後々ヒドい事になる。
「略式とは言っても結界はきちんと守られているからな。お前の半径10メートル以内は反魔法領域となっている」
安心して行ってこい、と言うショウコさんの顔には、明らかに純真ではない笑みが浮かんでいた。
「……はい」
返事をして部屋を出ようとした僕を――
「あ、そうだ」
恐怖の声が引き止めた。
「忘れ物だ」
その声に振り向いた僕の唇にショウコさんの唇が、そう、キスでもするかの様に触れた。いや、触れたなんてものじゃない。頭をショウコさんの両手で掴まれ(本当に痛かった)、これでもかってくらいに押しつけられた。
酸素が足りなくなって、意識が遠くなってきた頃にやっと離してくれた。
「はぁはぁ……。お礼はしたじゃないですか」
「はぁ? なんだそりゃ」
満足げに定位置の椅子に座り込んだショウコさんは不敵な笑みを浮かべた。
「これはな、私の趣味だよ」
次は『趣味』でお願いします。
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