PiPi's World 投稿小説
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No822-04/12 21:41
天船(CA32)
時刻は丑。
神社で誰かが丑の刻参りをしている時間。
事もあろうに、この神社で打っていようとは!
藁人形は生娘の秘華。
五寸釘は牡の棒。
相当な憎悪が娘を犯している。
だが、その牡は知らぬ。
既に、〈破瓜い/破壊〉した時点で、呪は返されていることを。

人、これを『処女の祟り』と云う。


…さて、彼奴を如何に祟り■して欲しいか?
生娘よ、その怨み…
バラダギたる儂が晴らしてやろうぞ!


『…してやる』で。
怪獣のバランを知ってる人しかわからんネタでした。
No821-04/12 10:55
白いフクロウ(812SH)
 「ぼくもそう思うね。この事件は外部犯の仕業なんかじゃない」
 「ああ。不自然に片付いた室内や、抵抗した様子のない被害者――外部犯にしては違和感が多すぎる」
 探偵だと名乗る兄弟の言い分に、刑事は癪に触った様子で返した。
 「そ、そんなことはわかっとる! だがなあ、この家に凶器が見当たらんのだ! こうなりゃ外部犯としか考えられんだろうが!」
 探偵の、兄のほうはしかし、フッと薄く笑うと言った。
 「あるんですよ。凶器は」
 すると弟のほうが、呼応するようになにかを取り出す。
 「これです」
 「そ、それは……!」
 それは事件当日、窓の外で雨ざらしに捨てられていた時刻表であった。
 「刑事さん。これを覚えていますか?」
 「あ、ああ……。だがそんなもので人が殴り殺せるわけが……」
 「それができるんですよ。……濡れた本を凍らせれば、ね」
 一同がどよめいた。
 「凍らせるだと!?」
 「た……確かにそうすれば、鈍器として使える! 盲点だった!」

〜〜〜〜〜

 編集者「……なあ、『時刻表の盲点をついたトリック』って、こういうんじゃないんじゃないか?」
 作家「え、ちがうの!?」


『時刻』で
No820-04/07 20:31
フロムポスト(CA38)
おれは本気か
この問いは、おそらく生涯おれが一番使用した問いになる
誰かが誰かを好きになった、という話を聞く
誰かを好きになれる事を羨ましく思う
それに伴う幸せが訪れる事を羨ましく思う
いいな、自分にもあればな、と思う
だからおれは誰かを好きになってみようと思う
最初は誰かの「良い所」を見つけようとする、何でもいい、容姿でも優しい性格でも気に入った仕草でも少しかしましい声でも何でもいい
しばらく探しているとそれは見つかる
その「良い所」を持つ誰かを、おれは好きになろうとする
そして唐突に問いがかかる
「本気かよ」、と
すぐさま否定する
「なわけない」、と
改めて自らの心を覗く
するとその誰かを好きになりたい欲求は観たい映画があるが、観に行こうかどうしようかという欲求となんら変わらない事が分かる
観たいな、けど面倒くさいな、そこまでして観たい物だったっけ?あぁそうでもないや、レンタルになるまで待とう、そんな欲求
そしてそんな欲求が確認できる自分が酷く空虚でくだらない存在である事が分かる
お前本気かよ、と聞く
本気じゃないよ、と応える
なんでだよ、と聞く
消えたいから、と応えるくだらない、と言われる
ぼくもそう思う


「ぼくもそう思う」で
No819-04/02 16:35
公羽(Akeha)(HI38)
諦めないことだ。 と、あの人は言った。
その言葉に、何度も勇気付けられて、私は今まで、走って来れた。
けれど今回ばかりは、どうしようもなく、打てる手だてがない。
今の私には、何か変化が起きるのを、祈る事しか残されていない。
ただ、じっと、私の運命に、天秤が傾くような、変化が起きる事を。


暗く、カビ臭いニオイの立ちこめる、この地下の牢獄に、何日か振りの光が、差し込んできた。
暗闇に、慣れた私の瞳には、焼けてしまうかと思うほど、眩しい光。

「よう。 意外に元気そうじゃねえか」
「こ、これのどこが、元気そうに見えるって、言うのよ!」
「やっぱり元気だ」
そう言って、私をこの牢獄の鎖に繋げた検非違使は、さもおかしそうにケラケラと笑う。


「出してやろうか?」
「処刑されるくらいなら、ずっとここにいた方が、何倍もましよ!」
「交換条件だ」
「交換、条件?」
「ああ。 お前の罪を消してやる。
その代わり、俺の女になれ」

急に真面目な瞳を向けて来たと思えば、とんでもない事を言い出した。
「冗談でしょ? それにそんな事、ただの検非違使に出来るわけないわ!!」
「生憎と、ただの検非違使ではないし、俺は本気だ」


『俺は本気』
No818-04/01 00:22
ソックスザウルス(CA34)
「『取るに足らない』か。
確かにそうかもしれない。
だがそれは本当にお前の考えか?
恐らく誰かの意見だろう。
足らないのはお前の経験ではないのか?
だからといって経験が無いのは恥じることはない。
恥じるべきは経験が無いから進まないことだ。
経験ができないなら本を読め。
知識が道を照らしてくれる。
不特定多数の言葉も確かに必要だ。
だがその中から一つを選ぶには知識が必要不可欠だ。
本は書いた一人の人間の考え方を記している。
色んな本を読めば色んな人間の考え方がわかる。
そしてそれを経験のヒントにしろ。
知らないことを恥じろ。些細なことでも学ぶ事を誇れ。
知ることは進むこと。
考える事は諦めないことだ。」

お題に沿ってるか不安ですが次は『諦めないことだ』です
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