PiPi's World 投稿小説
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No828-04/23 23:20
ミラージュ(KC3A)
煙草は私に何を与えてくれるだろう。

僅かな満足感。
バカにならない消費額。
肺が真っ黒になる。
ライターのテクニック。
肩身を狭く感じる禁煙世界。

本当に、善いことも悪いことも連れてきてくれた。

吸ってる姿がカッコいいと言った後輩の男の子。
煙草が駄目と答えた会社の先輩。
煙草は身体に悪いと心配した恋人。

もしかしたら、煙草は私の人生の中心にいたのかもしれない。
そう考えると私の人生は煙草にさんざん振り回されたな、と思う。

「…はぁぁ」

吐いた煙が漂い虚空をさ迷い消える。
無性に笑いが込み上げた。

振り回されるのも悪くなかった。
少なくとも、私にとって相棒と呼べるのはこいつだけだ。
嫌なときも嬉しい時も変わらず吸っていたように感じる。

舌に残る苦味やまとわりつく煙を慈しむように私はこの一時を過ごした。

相棒はただそんな私に付き合ってくれた。

次は「くれた」で。
No826-04/21 23:17
フロムポスト(CA38)
飛ばした煙はフラフラとしばらく漂った後消えていった。
夜眠れなくなったのはいつからだっただろう。
誰もがそれなりの過去を背負っている事は分かっている。
それを考えればぼくの過去ぐらい、どうという事は無いのも分かっている。
でもどうしょうもなく孤独に思えてしまうのは何故だろう。
友達と話もする、笑いもするし、笑いもさせる。
にも関わらず、自分は誰とも交われていないと感じてしまうぼくがいる。
吐き気のする程膨大な時間が流れていく。
ぼくはそこに希望を見いだせない。
あらゆる言葉も行動も、ただそれだけの事だと思えてしまう。
馬鹿にしている訳ではない、ただ信じる事ができないだけなのだ。
一番馬鹿馬鹿しいのは自分だ。
そんな自分を否定も肯定めできない自分が、とても歯がゆい。
それを誤魔化す為に、ぼくは煙を吸い込む。
煙がもたらす一時のまどろみの中だけ、ぼくは眠る事ができる。
ぼくを変える圧倒的な何かが、この時間の先にあるのだろうか。
ぼんやりとした頭で考えながら、それを期待もせず、否定もせず、ぼくは煙草の匂いの中で思考を止める。
寿命を縮められた事に対する少しだけの満足感。
明日の朝まで、ぼくはぼくを許す事ができる。


次は「煙草」で。
No825-04/19 13:51
ミラージュ(KC3A)
「ついに明日ね」
「ん、何が?」
「何がってそりゃバレンタインデーよ!!あなたそれでも女の子なの?」
「……女の子はそんな叫ばないよ。あんたこそ女?」
「いい、明日は私たちの人生を分けるかもしれないのよ。気合い入れていきなさい」
「はぁ、無視するなら話かけないでよ」
「やっぱり、勝負パンツ履かなきゃだめよね。何があるか分からないしさ。」
「………」
「でもさ、そんな派手だとやる気満々でだめよ。てか、いきなり手を出す男も微妙よね。もっと親交を深めてねぇ…」
「………」
「……えー!?あなたって明日勝負パンツ履いてく――!!」
「何言ってんのよ、何を」
「―ふぁにっへひひふを(何って事実を)」
「事実じゃないでしょ、大体それはあんたでしょ」
「――っぷぁ、無視するあなたが悪い。反省しなさい」
「何でよ、ツッコミ入れても反応しないくせに」
「ふぅ、わかってないわね。あなたは某猫型ロボットでいうならばデキス○君。某ちびな女の子ならハ○ワ君よ」
「……どういう意味よ」
「頭は良いけど、キャラがないの。唯一の武器はツッコミだけ?」
私は友人を蹴り飛ばした。

「飛ばした」で。
No824-04/19 13:16
白いフクロウ(812SH)
 「平和だな」
 呟く男のいる部屋の隣。
 夫婦が喧嘩の真っ最中。
 興奮しすぎた夫が手にとる、
 机の上の果物ナイフ。

 「平和ねえ」
 呟く女の眺める景色。
 星がキラキラ光る海。
 水平線のむこう側では、
 嵐に飲まれ沈む船。

 「平和だあ」
 呟く子供が生きてく未来。
 希望に溢れるはずの世界。
 神に近づきすぎた人間、
 翼をもがれて堕とされる。

 「平和だね」
 呟く人々仰ぎ見る空。
 同じ青空見上げる人間、
 いまもどこかで死んでいる。
 明日にはみんな死んでいる。



……ネガティブだ〜(^-^;
『死』か『明日』で
No823-04/18 23:28
ミラージュ(KC3A)
「恋愛してやる!!」
友人の限度をしらない叫びが平穏な教室に響いた。
まばらにいる同級生の目は友人に注がれていた。
…いや、私にもか。
「毎度毎度の叫びはやめてって。いい加減考えてよ」
当たり前の抗議。
しかし、周りの視線など空気と同様にないのと同じ友人には私のこえも空気と同じらしい。
「ねぇ、恋愛って勝手にやってこないものだと思うのよ」
「おい、スルーですかっ!?」
「知ってる?恋愛とナマモノはお早いうちに。これは先人たちが私たちが後悔しないように授けてくれた教訓ね。全く古文なんてもの残すよりこっちをもっと残しなさいよね」
「……スルーツッコミにもスルー。それに今の発言ツッコミ満載よ」
「まぁ、好きな人はいないけど女の子に生まれたからには知的に可憐におしとやかになって男をとっかえひっかえしたいじゃない」
「いや、それはないから」
「でも普通は出来ないわ。おしとやかは出来たけどね」
「さっき叫んだ人はだれだろう。それともう勝手に話しなさい」
「でもこんな私――」
友人の永遠と続くと思われる話を片手に私はうとうとと眠りの船をこぎたす。

あぁ、平和だねぇ。

次は「平和」で。
今書きかけの物語りの一部。
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