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アノ夏ハワスレナイ
その他リレー小説 - ホラー

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アノ夏ハワスレナイ 1

真夏の太陽の光りを遮る様にそのアパートの前には大きくて樹齢何百年とか言う古い木が有った。

大学に受かってイイ気になっていたのかもしれない。
独り暮らしをすると言って親が止めるのも聞かずに親はアパートを借りた。
外観的にはちょっと古くさそうだけども中は以外と綺麗だしトイレと風呂が完備されてて今時、あんな値段で売られてるんだから。
俺はその値段に惹かれてその部屋を借りた。


『…っよぉし。これで荷物の片付けは終了』
『正ぃ…疲れたの。飲み物くれない?』
『んー?今、引っ越して来たばっかで無いよ…』
『それなら私。買ってくるから…あ。何飲む?』
『んー。お茶でいいや』
彼奴は安東日和(アンドウヒヨリ)。
しっかり物で気遣いの良く出来た俺の彼女だ。
俺は日和が出て行った後の部屋が急に寂しく感じられた。
この部屋は直射日光が当たるらしい。首筋に暑さを感じ、俺はカーテンを閉め電気を付けた。
昼間だと言うのにどっと暗くなった気分がする。
その時、階段から急いで上に昇る音がした。
日和だ。きっと。俺は玄関へと向かった。

玄関に付く前に足音は俺の家の前に到達した。
そしてインターホンが鳴る。
『何だよ。日和!鍵は渡…』
俺はドアの外を見てぎょったした。
そこには数人の身知らぬおばさんが立っていたのだ。
(……誰!?)
俺は一度、ドアを閉めて再び開いた。もしかしたら蜃気楼かもしれない。
それならそれでもっと良いもの見せてくれよ。
しかし、依然としておばさん達はそこに居た。むしろ、さっきよりも密集して数が増えている気がする。悪夢だ…。
『お前は何者じゃ…!!』
おばさん達が一様に驚いたような表情で一斉に叫んだ。
いや、それは俺が聞きたいんですけど。
『高峰殿は何処にっ!!』
おばさん達の中でも特に背の高い、喪服を着込んだ一人が、俺に掴みかかるような勢いで詰め寄ってきた。
たかみね…? 誰だろ。前の住人か? …それにしても、このオバサン、怖い。顔がマジだ…。
『…あの』
『高峰さぁぁぁん!?』
突然にも、一人のオバサンが叫んだ。
『っひ』
飛んでも無い所に越してしまった。
謎のオバサン集団は夜になって要約、帰って行った。
近所の人が大家さんに苦情を言いに行ったらしい。
お陰で俺は大家さんに目を付けられてしまった。


『…へぇ。災難だったねぇ』
『ああ』
昨日の事を全部、日和に話した。
本当はこんな話し、したくは無かったのだけれども。日和は勘が鋭い。
俺が挙動不振なだけか?

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