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殺し屋のあなた
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殺し屋のあなた 6

「アクト」
ルナは笑って言う。
アクトとはルナの弟。ルナと同じ、殺し屋をしている。
「なんて?」
「あたし達の噂を耳にしたって…心配して連絡してくれたの」
「俺達の噂…」
ラストの顔が一瞬、変わった。
「そ〜んな顔しないの!噂をしていたのはレイザーとカノンだって。アクトったら能面みたいな女が姉ちゃん達の噂してるって、息を切らして言うの。笑っちゃう!」
「アイツはお前の事、本当に好きだから心配なんだろ?」
「あ〜ら。ラストはあたしの事好きじゃないの?」
ルナはラストに凄い剣幕で言い寄る。ルナは酔っ払っている。
「頼むから寝るなよ。俺がおぶさって帰らなきゃならんからな」
ラストがグラスを傾けながら言う。ルナは、だいじょうぶだよ〜、とか言ってるが、目が寝かけている。
ラストは一瞬腹を壊したかのような顔をしたが、そのままルナを放っておいた。
とりあえず今は寝かせておくらしい。帰る時は、帰る時に決めよう、と思った。
「ディル」
「ん?」
なにやら帳簿を書き込んでいる(普通、客の前ではそんなことやらないと思うが、ラストとルナは客には入らないのか)ディルにラストは話しかけた。
「さて、うるさいのが眠ったところで情報のやり取りをしときたい」
ディルは情報屋だから、この店では情報の売買が行われる。
ラストは今回の依頼の事を洗いざらい話して、他の情報を仕入れようと思った。
ホントはやってはならない行為なのだが、ディルは分別ある情報屋だから、情報者の名前は拷問にかけられても話さない。はずだ。
「んあ?今回のお前等の仕事のことか?」
帳簿から顔も上げずに、ディルは返事をした。
俺、客だよな?とラストは思う。
「ああ」
「いらねーよ。もう仕入れてるし」「嘘だろ!?早すぎだろそれ」
ラストは正直驚いた。さすがと言うべきだろう・・・。
「・・・なんか情報くれよ」
ラストが小さく言った。
「・・・おっと、客のようだぜ?この話はここまでだ」
ディルは話から逃げるように客が来たことをラストに告げた。しかし、その客と言うのはラストたちの顔見知りだった。
「タキさん!!」
ラストが大声で叫び、タキに駆け寄る。タキは腹部からかなり出血していた。他には殴られたような、斬られたような傷が様々なところにあった。
「くっ・・・触るな!!!」
仕事の時以外は温厚なはずのタキが荒れていた。
「どうしたんですかねお客さん?できるなら俺の店を汚してほしくないんだが?」
ディルはグラスを拭きながら、さも興味なさげに言った。
「ディル!!お前!!!」
「いいのよ!ラスト!!」
今まで寝ていると思っていたルナが大声で叫んだ。その声を聞きラストはルナを見た。
「こういう手負いの暗殺者は、追われている可能性が高いんだから・・・。できるなら関わらない方がいいよ」
「相変わらずキツイな…嬢ちゃん…」
タキは少し冷静さを取り戻したのか、ルナを見た。
「おぢさん、追っ手は何人?」
ルナはタキを見て言う。
「はぁ?お前さっき言った事と矛盾してるぞ?」
ラストはルナを見て叫んでいる。
「うるさいなぁ…あのね、あたしはタキの事好きぢゃないけど、ここで見殺しにするには勿体ないってことぐらい知ってるの。」
ルナはラストに告げると、ディルを見て言葉を続ける。
「ゴメン…面倒かけちゃうね…」
「いいよ!これぐらいはな。このオッサンはオレがなんとかしといてやる!」
ディルは笑って言う。

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