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殺し屋のあなた
その他リレー小説 - アクション

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殺し屋のあなた 25

「スライ・グロウリー…銃の腕も顔もA級クラス。人と馴れ合うことを嫌う一匹狼。」
ルナはポツリと呟く。
ルナの言葉にその場にいた一同、驚いた。
「なんでそれを?」
ディルはルナを見た。
「あたし、グロウリーと面識あるの。昔にね…」
ルナは笑って言う。
ラストはルナに自分の知らない過去があるのに腹が立った。
「レイト、依頼が被ったって言うけど…グロウリーが依頼を受けたの?あたしには信じられないけど…」
ルナはレイトを見た。
「オレの情報が信じられないと?」
「ええ、もちろん。ディル、悪いんだけど」
「ああ…。」
「ああ…じゃないよ。情報があるならくれっての」
「じゃあ、このくらいでな」
と言って、ディルは指を三本立てた。
「ちっ!抜け目無いなあ。まあいい。それくらいは必要経費で何とかなる」
レイトは黒ビールを飲みながら言った。
「じゃあ、まず生い立ちから教えてやろうかな。」
ギシ。ディルが腰かけた椅子が軋んだ。 「まず、スライはエリート街道まっしぐら、と言う訳じゃない。突き詰めればただのチンピラ上がりだ」
「トカレフを持った殺し屋、と言う別名もあるくらいだからな」
「そう。最初は些細な喧嘩だったらしい。兄貴分を殴り飛ばし、トカレフを奪って射殺。これがスライの殺人初体験だ」
「ヤッちゃんの新入りみたいなもんなんだな?」
「まあな。ただ人情に厚い男だったと言う話だ」
「熱血漢な訳か?」
「そうだな。そう考えれば自分の意見を曲げずに殺人を犯したのも頷ける。どこに行くんだ、タキ?」
見ればタキの椅子から尻が離れている。
「少し気分が悪い」
と言ってタキは店の奥に消えた。
フン、と鼻息を吐く音が聞こえた。
誰だよ、とレイトが言った。

「続けるぞ。まぁ、そんな訳でレイトはヤクザな組織のお尋ねものとなった。毎日追われる身だ。
だがな、スライは死ななかった」
「強かったんだ?」
「強い。持ってる弾は少ない、トカレフの装弾数も少ないと言う状況下であそこまで出来る奴はそういない」
「あそこまで、とは?」
訊いたのはラスト。
「四人相手を僅か二十秒だ。四人の死体からは弾が六発」
「乱射した訳じゃないってことなんだな」
「ちょっと待ってください!」
レイトに続き発言するアクト。
「何だ?」
「それって、まだ初めて人を殺して間もない内ですよね?それでそこまで出来たんですか?」
「でも、出来たんだろ?なぁ?」
「そう。出来たんだ。それが『窮鼠』たるあだ名の所以だ」
「えっと…それって?」
解らない、と顔で語るアクト。
「つまり、
スライ・グロウリー
は追い詰められることによって真価を発揮する、火事場の馬鹿力男なんだ」
「あぁん?」
「………」
レイトは奇声を放ち、アクトとラストは絶句した。

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