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無頼エスパー・シヴァ
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無頼エスパー・シヴァ 6

「サイボーグを一撫でで昏倒させる力を持っているわ。まあ、性格はやや難ありだけど、使い方次第じゃないかしら」
「使い方次第?本当に信用していいんだろうな?」
 キアラの有り体な言い方に顔を渋らせるアレク。しかしキアラはそれに苦笑して応じる。
「少なくとも私は信用しているわ」
 キアラの言葉に、アレクはようやく銃を下ろした。
 キアラとアレクのやりとりに、大きな欠伸を漏らすシヴァ。用心深すぎる街にリーダーは事態が切迫している事を示しているのだろうが、実のところあまり関心はない。
 そんなシヴァの態度に明らかに気分を害していたが、一瞥しただけでシヴァには何も言わず、キアラに向き直るアレク。
「この男を皆に紹介して、適当な部屋に案内してやれ」
 それだけ言うとその場を後にするアレク。
「と、言うわけだから、皆に紹介するわ。ついでに、この町で何が起こっているのか教えてあげる」
 そう言うとキアラはシヴァをとあるビルの一階へ案内した。
 元は何かの店が入っていたのだろう、空になった棚が端に追いやられ、所々めくれ上がったプラタイルの床には剥き出しの配線が飛び出している。
 そして、そこに集まっているのはそれぞれ武器を手にした筋肉質の男達。
 汗くささに顔をしかめるシヴァに気が付くと、男達は幽鬼のような顔で視線を向ける。
「おい、新入りだぜ」
「ひひひ……」
 シヴァの顔を見ながら、不気味に笑う男達。
 やがて一人の男が手にした電磁ライフルを床に置くと立ち上がり、シヴァの目の前に立ち塞がった。
「ふひひ、新入りよう、西さんに挨拶もしねぇのかよ」
 次の瞬間、男の顔面にキアラの鉄拳が飛ぶ。
「西さんって誰やねん!?子供に分からないギャグをいれるんじゃない!!」
 電磁ライフルの男を強かに殴り倒し、気炎を上げるキアラ。
 シヴァはちょっとだけ矢吹ジョーの物真似をしようかと思ったが、キアラの拳が怖いので自重する。
「それはともかく」と、キアラは小さく咳払いをし、視線をシヴァに戻した。
「ここでの生活は私か“まかない”のアンナが面倒を見るわ。このビル全体があなた達のねぐらになるけど、無断でビルから出ると、その場で蜂の巣になるから気を付けてね」
「気を付けてねって、おいおい、俺に何をさせようって言うんだ?こんな兵隊崩れをかき集めて戦争でも始めようってのか?」
「まあ、戦争と言えば言えなくもないな。相手は人間じゃないがな」
 シヴァの問い掛けに、別の男が応じる。
 シヴァが声のする方に視線を向けると、そこには重装甲に身を包んだアジャンタの近衛兵が立っていた。
 一瞬シヴァは我が目を疑ったが、よく見ると正式な物とは細部が違う。王族の近衛ではなく、ローカル・クマリ(神託を下す女神)の身辺兵なのだろう。
「アジャンタの兵隊さんがこんな所で何をしているんだ?」
「この星にもアジャンタの租界があってな。そいつを敵に蹂躙された」
「敵?あんたらの戦っている敵ってのは?」

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