カイン 1
僕の名は『カイン』。
ファミリーネームはない。
僕は戦場の地で生まれ、両親の顔も知らない。
いわゆる『戦災孤児』というやつだ。
今は良い育て親に拾われ、ここナスタリア王国で暮らしている。
平和で美しい王国だ。
大国ではないが、工芸が盛んな豊かな国だった。
争いを知らず
戦いを望まず
そんな王国に、もうすぐ戦火が上ぼる。
(0)登場人物
*プリンセス(♀);ファリス
*剣士(♂);アレン
*魔導士(♂);カイン
*魔導士(♀);アリーシャ
*盗賊(♀);ゼン
*踊りこ(♀);レイチェル
*弓騎士(♀);マナ
(1)没落
ナスタリア王国の中央に位置する宮殿の、端の端にある小さな部屋。
そこで二人の人物が言い争っていた。
一人はまだ幼さの残る少年で、もう一人は頭髪も髭も真っ白な老人だった。
「なぜですか先生!」
少年―カインは机を挟んで反対側に腰掛ける老人に向かって声を張り上げた。
『先生』と呼ばれた老人は読んでいた本から顔を上げることもなく問い返した。
「なぜだと思う?」
「僕がまだ子供だからですか?」
老人は答えない。
「姫は僕とは1つしか変わらないのに戦場に立ってる!
僕だって戦える!!」
老人は一呼吸置いた後に静かに問うた。
「なぜ戦いたいのだカイン?」
「...」
カインは言葉に詰まる。