THE ENDLESS 84
男が振り上げた大剣をヒラリと躱すと、ロキは鎌を水平に滑らせ、胴体を引き裂いた。
「それにしても、ぎょーさんおるなァ」
「…余所見をするな」
いつの間にか、背後に立っていた煌夜がショットガンの引き金を引く。
「そーゆー自分、結構余裕そうやで」
五月蠅いと言わんばかりに、煌夜のショットガンがまた火を吹く。だが、一発の動作が大きいショットガンでは相手になかなか当たらない。
「…瞬間武器変更…『双天鴛鴦』…」
そう宣言するとショットガンが消え、新たに黒光りするハンドガンが煌夜の両手に形作られた。
すぐに二つの銃口を相手に向けると、間髪入れずに引き金を連続して引いていく。
先程のショットガンの弾と比べてダメージは少ないが、十数発も撃ち込まれれば相手に勝ち目は無い。
「おーおー、見事に蜂の巣やな」
「…貴様も同じようにしてやろうか?」
「あーははは、堪忍してーな♪」
ロキは笑顔を浮かべたまま、何処からか飛んできた矢を鎌で打ち落とした。
「もう、鬱陶しいちゅうねん!」
周りには未だ多くのプレイヤーが残っている。
「何や、こう…ドカーンて、一発で戦局が変わるような魔法とかあったら便利やのに」
ロキが誰に言うとも無く呟いた。
「…無いことも無い」
すると、その呟きを聞いた煌夜が言った。ロキは一瞬驚きの表情を作ったが、すぐにその糸目をさらに細め、唇をにやりと歪める。