THE ENDLESS 73
「如何にも、我はウォン・リーだ」
「王・李さん、単刀直入に言います。私たち『Quzens』に来ていただきたい」
王・李はその言葉にも眉一つ動かず、切れ長の目でシルセナを見ている。
「我は力無き者には従わぬ」
「分かっています。貴方は今迄3つのギルドを誘いを断ってますね。しかも、一騎討ちを申し込んで…」
李は立ち上がった。
「ならば分かっているのだろう」
立ち上がった王・李は、重圧そのものが形を成して、そこに存在している様だった。
「やはりそうなりますか…ごめんね、ジーク、桃樹、そうそう戦闘にはならないって言ったけど…早速なっちゃった」
シルセナは苦笑しながら振り返ってジーク達を見た。
「二人とも、少し下がってて」
「汝が相手か」
二人が下がったのを確認すると王とシルセナは構えた。
「『黄龍』」
「『White Thorn』」
それぞれの手の中に武器が形成される。王は黄龍と呼ばれた棍が作り上げられると、瞬時にそれを突き出した。
だが、シルセナは不意打ち気味のその攻撃にも動じることなく、白い細剣で躱す。
その期を逃さず、今度はシルセナが動いた。胴を薙ぐ様に細剣を素早く振るう。
王はその攻撃を棍で防ぐのと同時に細剣を払い、連続で突きを放っていく。
「すごい…」
その息を飲む攻防に桃樹は思わず感嘆の言葉を零した。
「大丈夫かな…シルセナさん…」
その問いにジークは答えられなかった。両者の力はほぼ互角、両者共隙を見せれば致命傷になることが分かっている様だった。
シルセナの細剣が振り下ろされた。王の右手が僅かに斬り付けられる。
致命傷にはならない傷だった。しかし、シルセナは構わず細剣を振るう。また、王の腕が斬りつけられる。今度は左、王も棍を突き出すがシルセナは紙一重で躱していく。
戦いに変化が現れたのは、それから少し後の事。王の攻撃からキレが失われてきていた。
シルセナの機械の様な精密さにより、少しずつ斬りつけられた両腕の傷が王の攻撃を鈍らせていた。
「くっ…」