PiPi's World 投稿小説

THE ENDLESS
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 19
 21
の最後へ

THE ENDLESS 21

「畜生…」
ジークの声だった。
 緋竜石採取から数日。ジーク達は書類を守るべく日々レベルアップに励んでいた。ジークの頭には常にナガレの言葉があった。
ジークはギルドで休みつつ悩んでいた。
(俺が一番弱い…か。どうすればもっと強くなれるんだろう)
「どうした?ジーク」
「ミツワさん…」
ミツワさんはとても強い。何か秘密があるのだろうか。
「ミツワさんは、どうやってそんなに強くなったんですか?」
ミツワは固まった。その表情からは何も読み取れない。
「…ミツワさん?」
「…いいだろう。教えてやる…座れ」
ミツワはそう言ったが、椅子に座ったまま俯いて口を開く気配が無い。
ジークは重苦しい空気に圧迫感を感じた。
「……」
長い沈黙(ほんの二、三分ほどではあったが)の後、遂にミツワが語り始めた。
「俺とここのマスター、颯葉は、現実世界でも知り合いだった。…いや隠さないでおこう。俺と颯葉は恋人同士だ」
「な!!?」
(関係無いんじゃないか?)
ジークの驚きを余所に、ミツワは語り続ける。
「俺達はこのゲームが世に出るとすぐに飛び付いた。いつも二人でこのゲームを攻略していた。楽しい毎日
だった……でも、二年ほど前に俺は交通事故に遭い、意識不明の重体になった。…ここから後は全て颯葉から聞いた話だ…その後颯葉の元に一本の電話が届いたらしい。なんでも、このゲームの製作者の代表らしい。その人物はある提案をした…」
ジークはそこまで聞くと、鳥肌が立つのを感じた。
「ま、まさか…」
「そう、その人物は俺をこのゲームにログインさせようと言った。颯葉は初め躊躇したが、一週間後に実行した」
ミツワはそこで少し言葉を切った。まだ俯いたままである。
「ログインした時の記憶は無い。気付けばいつもの様に依頼を受けようとしていた。それから俺は一度ログアウトしようとしたが、脳波が乱れて一時危険な状態になったらしい。それ以後俺はログアウトした事が無い」
「だからそんなに強いって…そんな、冗談ですよね?」
「…俺もそうならいいと思っている」
そう言うミツワの眼は真剣で、とても冗談だとは思えない。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す