PiPi's World 投稿小説

Gear〜鍵を成す者〜
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 0
 2
の最後へ

Gear〜鍵を成す者〜 2

大男の顔が喜びに満ちた顔になる。
「いいねえ、その恐怖に怯える顔…もっと見ていたいが…」
少年の横には彼のテアが倒れている、それは冷たくなって一寸たりとも動かない。
「これで終りだ!!」大男の鉄球が少年の頬をかすめた。
大男の顔が苦痛に歪む、背中から刺された剣が腹と鉛をつき抜けていた。
「大丈夫か“リオ”」大男が倒れると太陽を背にして、銀髪の短い髪をした青年が現れた。
「トマ…僕のテアが…」リオと呼ばれた少年のゴーグルに涙が溜っている。
「早く俺のに乗れ!!グズグズしてたら、死んじまうぞ」リオと話している間にも、トマの銀髪は赤く染まっていく。
「チッ」トマはリオを抱きかかえてテアに乗せると、尻を叩いてテアを走らせた。彼は一人、そこに残ったまま。
トマのテアはリオのテアに比べて大きく、そして速かった。兵の群れを走り抜けた後も逃げるように走り続ける。
「僕のテアが…ねえトマ…えっ」リオが後ろを振り向くと、兵士の群れが一つの線のように見えた。
リオはテアの手綱を強く引っ張り、引き返そうとする。しかし言う事を聞いてくれない。
「なんでだよ!!まだあそこにはトマが!!」
テアが首を振り、逆に手綱を引っ張るとリオは落下した。
「もう遅い!!それに何でこんな事になったのか、もう一度よく考えるんだな」テアは冷めた目で倒れたリオを見下した。そして動く地平線を振りむいた。
「あの中にいては助からぬだろう…」トマのテアが淋しそうに言う。
ウォーー…、翼を持った巨大な悪魔が兵士たちを焼き、潰し、消していく。
「乗れ、マーリンが待っている」
「うん…」リオがゴーグルを外すと涙が地面をぬらした。



「ほお、そうか…戻って良いぞ」白い髭と眉毛をもつ老人が、窓の外を見ながら話を終えた。
「“ゴンドラ”の軍勢が攻めてくるようになるとはな……“ディアボロス”の召喚…フッ」老人は“何か”を鼻で笑った。
そして緑のローブを翻し、大きな椅子に座った。
「テア特務隊リオ、只今戻りました…」若い声が扉の向こうからする。
「入りたまえ」老人は口を開く。
扉が開くと十代半ばの少年が血だらけのまま敬礼をした。隣には彼のではないテアが座っている。
「ありがとう、特務隊の活躍によってこの国は救われたのだ…」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す