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カダクロス
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カダクロス 7

片手持ちでも両手でも使えるバランスの取れた長剣。しかし、正眼にかまえた剣を捻られるような不自然な衝撃を感じる。刀身に絡みつく鞭。ルカは体勢を崩されかかったが、引かれる力に逆らわずそのまま相手に向かってゆく。ぐにゃり、という衝撃。なりふりかまわず突き出した切っ先が相手の喉笛をえぐっていた…。
「次は?」ルカは辺りを見回すとすでに残りのダークエルフはギアースによって屠られていた。「おい、ルカ、ここはダークエルフやトロールなどの巣窟だ。気を抜くんじゃねえぞ。」ギアースはルカに言った。「ああ。すまない。」ルカ達は再び歩き始めた。その内に日は沈み、辺りはすっかり暗くなっていた。「よし。今日はここで野宿だ。」ギアースは軽い口調で言った。そしてライラに「お前さん、魔法剣士だったな、結界とか張れないか?」と聞く。ライラは「ええ、テントぐらいの大きさなら。」と答えた。
一行はライラの結界で身体と装備の手入れを行う。彼女の剣はさっきの魔法のおかげで芯が狂ったらしく、鞘に納めづらいとぼやいていた。しかし『ダマスカス』と呼ばれる砂漠の民の技術が用いられた大業物。上質な鋼は多少の歪みなら、素材そのものの弾力で元に戻ってしまうという。
ルカはフェイムフェイスの刀身をじっと見つめる。確かにこの聖剣は鋭い切れ味なのだが、ルカの手にしっくりこず違和感を感じてしまう。「どうしたんだ?。剣を見つめて」
その様子を見ていたギアースがルカに問い掛ける。ルカは剣から目を離すと、大きく息をはきギアースの方へ向き直った。「・・・すごく違和感を感じるんだ・・・まるで剣が拒んでいるような感じなんだ・・・」
その言葉にギアースは上を向いて少し考える。「お前の言うとおりだと思うぞ・・・それだけの名剣だ、持ち主を選ぶのだろう。」
ルカの心は此処にあらずの状態だった。思考の大部分は《聖堂騎士》の一言に費やされている始末だった。「なんか・・こいつの刃先は俺を・・」ルカは呟いた。ルカは感じていた・・身に纏う防具と、敵を切り裂くはずの武器がその役割を果たしてないことを・・。 ルカは夜半、皆が寝静まった後、防具ど武具を身に纏い、自ら結界を抜けた。

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