暴虐王の帰還 1
「間もなく開演致します。」
アナウンスが終わると、オーディエンスは歓喜の声をあげた。
ここは、とある市内のホール、ここではあるバンドのコンサートが間もなく始まるところだ。
そのバンド名は「Brutal Space」そのサウンドは正に暴虐空間。人は彼等を「暴虐王」と言う凄まじい爆発音とともに、鬼のようなスピードのドラムのブラストビートが炸裂する。
彼らのデビューは3年前。当時は『破天荒な期待の若手バンド』と言われ、大いに話題となった。しかし、今から半年前、団員のうちの1人が交通事故を起こしてからというもの、活動停止を余儀なくされていたのだ。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
彼らはお互いに何も言わなかったが、彼らの心は1つだった。復帰を果たした歓喜の思い。それしかなかった。
『それでは登場していただきましょう!Brutal Spaceの皆さんです!』
歓声とアナウンスの中、彼らはついにステージに帰還したのであった。