急がなくちゃいけない。折角の修行が無駄になる。大切な仲間を助けるための戦いの時に遅れるわけにはいかないんだ。遅れたら自分を許せない。
急ごう。何とかして、日本に帰るんだ!
でも……
「どうしろって言うんだよ!」おれは日本語で思いっきり叫んだ。道行く人々が一瞬、おれの方を見たけれど、すぐに興味を失って視線を戻した。おれの言葉が理解出来なかったせいもあるだろう。ここはロンドン。英語圏のど真ん中だ。
「喚くな。そんな暇があるなら頭を使え」
などと足下でほざくのは日本へ真っ当な方法で帰れなくなった原因。