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THE ENDLESS
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THE ENDLESS 78

敵の戈使いは古代支那系の鎧でほぼ体全体を被っているのに対し、スヴェルクはかなりの軽装備である。スヴェルクの不利は目に見えていた。
 
「あれ…手伝った方がいいのか?」
「援護射撃しようかな」
「桃樹…スヴェルクに当たらないって保証は?」
「……無い」
 
スヴェルクは、以前より数段上昇したかと思われる俊敏な動きで戈使いの攻撃を躱し、斬り付けている。が、鎧に阻まれダメージを与えられない。
 
「くっ」
 
スヴェルクは一旦距離をとった。相手は鎧の所為で動きが鈍いので、周りに目を遣る余裕が生まれる。
シルセナも王も既に敵をゲームオーバーにしていた。つまり、スヴェルクに生け捕りの役が回ってきたという事である。
 
「やってやる…!」
 
スヴェルクはキッと戈使いを睨み付けた。それに応える様に戈が横から襲って来た。
 
(速い!!)
 
しゃがんで避ける事も出来ない。スヴェルクはある程度のダメージを覚悟したが、不幸中の幸いか、戈の刃の部分はスヴェルクの背後、空を切る寸法だ。
 
(来る!!)
 
がしかし、戈は途中で軌道を変え、スヴェルクを背後から刈り倒した。
 
「がっ!」
俯せに倒れるスヴェルク。それだけでなく、背中に傷も負った。
 
「スヴェルク!」
 
ジーク達はスヴェルクの敗北を半ば確信したが、戈使いは大きなミスを犯していた。
戈は近距離では役に立たない。スヴェルクを倒す時、必要以上に力を入れすぎたのである。スヴェルクはいま戈使いの足元にいる。
 
「うおお!」
 
スヴェルクは全身、特に背中の痛みを無視し、渾身の力を込めて戈使いに飛び掛かり、押し倒した上、首に鉄爪をあてた。
 
「大丈夫か?」
 
駆け寄って来たジークが声をかける。
 
「は…早くこいつを…」
 
息が切れている。ジークは注意しながら戈使いを後ろ手に縛った。
桃樹はスヴェルクに治癒魔法をかける。
 
「強くなったね、スヴェルク君!僕達も…わあぁっ!!」
 
突然、全員が怯む程の轟音がその場を走り抜けた。
見ると、ギルドの壁は吹き飛んでいて、そこからオーラを纏い、戟を携えたアジェストが出て来た。
 
「おいおい自分のギルドぶっ壊す奴があるか?普通」
 
鞦韆の登場。こちらは黒のオーラだ。
 
「武器出せよ」
「…『慈恩』」
「あ?刀?」
鞦韆はその刀を抜き放った。
 
「平民が刀持ったら悪いんか?」
 
鞦韆が動いた。瞬時にアジェストの前に現れ、真直ぐに刀を振り下ろす。
 
「!」
 
アジェストも素早く反応しその斬撃を戟の柄で受け止める。
 
「……」
「……」
 
互いに睨み合う両者。青紫と黒のオーラが絡み合う。
 
(こいつの実力…想像以上だ)
 
不意に鞦韆の刀が滑り、アジェストの右手を狙う。アジェストはそれを戟を回転させて凌ぎ、鞦韆に蹴りを入れて距離を取った。
 
(ここからが本番だ)

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