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ランドランド〜キラの旅立ち〜
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ランドランド〜キラの旅立ち〜 2

「人が苦しんでるってのに…おまえって奴は…」
キラが目を見開くと、健康的な褐色の肌をした女性が、彼の顔を覗き込んでいた…
その美しい顔を睨み付けながら、キラは体を起こしていった…
「いてててて…」

「早くしないと、遅刻よ?フフっ」
彼女の笑顔も声も、美しく魅力的ではあるが、今のキラにとっては、お節介な幼なじみでしかなかった
「今日はサボるからいいよ!父上の馬に怪我させてしまったから、帰って治療させねえとさ」
「あんた、そんなことばっかしてると、いい加減に、落第か退学よ?」
「そうかもな…」
キラは馬をどうにか立たせてやると、中傷の小言を発する野次馬たちの間を縫うように去って行った…
「もっと自信を持っていいはずなんだよ?あなたは…」


「よう」
 馬を連れてかえって、それの主治医(おちこぼれの何のといわれていたって血筋は貴族、馬にも主治医くらいついている)を呼んで来て、…そいつの(またか…)と嘲笑うような視線を逃れて再び街に出て──声がかかったのは、そのときだった。
「あんたもサボリかよ、キラ・ジークランド君?」
 細い路地の入り口あたりで、髪は薄い金色のくせ、瞳は暗い緑をした少年が壁に寄りかかって、ニヤニヤ笑っている。
「ク、クラレイ?何やってるんだこんなトコで?」
 クラレイは答えた。
「サボリだよ。あんたもなんだろ?へっ、落ちこぼれ仲間ついでにサボリ仲間にもなっちまうか?」
「…ウソつけ。おまえ、どこがどう落ちこぼれだとぬかすつもりだ」
「じゃあ、嫌われ者か?」
「……」
 とっさに、答える言葉は出なかった。──もしかすると、真実かもしれないのだ。いや、キラとの関係は、今向こうから声をかけてきたように、わりと親しい方である。
 が、決して単純に「落ちこぼれ仲間」でないことを、彼は最近になって知った。クラレイもずっと、同学年で通していたし、休暇中の補講でもよく一緒になっていたから、飛び級どころか進級の危ないやつだと当然思っていたのだが…。少し前、クラレイは廊下に貼り出されていた卒業試験予想問題を余裕で解いてしまった。
『どーゆーことだ?』
 そのとき愕然と尋ねたキラに、クラレイは真実を明かした。
『あんたは、親父が東方大戦の英雄で、比べられて逆に苦労してる。だけど、オレは逆で…』
 クラレイの父親は、かなり期待されていた秀才だったらしい。が、東方大戦で敵方の手先になって、結局惨死した。
『要は、オレは裏切り者の息子で…しかも、似てるんだと、親父の若い頃に。だから、国はオレから目が話せねぇんだ。それで、アカデミーにできるだけ長く繋いでおきたいんだろうよ』
「だからさ」
 と、今現在、現実のクラレイはいった。
「嫌になるんだよ。ずっとマークされてんだから。…あんたの方はどうしてサボる?」

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