PiPi's World 投稿小説

血をください
恋愛リレー小説 - ラブコメ

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

血をください 1

 ¨血をください¨


君は最初にそう言った


最後の時も


そう言ってくれたら良かったのに



 ピピピピピピ……

 太陽が顔を出し、小鳥達がさえずり始めた頃。部屋には規則正しい電子音が鳴り響く。朝だ。

まだ布団の中、俺は腕だけを出してその音の根元をまさぐる。

視覚に頼るな……感覚を研ぎ澄ませ……

ん。

この無機質な質感は……捉えた!

よし、喰らえ!

俺は、耳障りな電子音を撒き散らすその無機質な物体の頂点を、正確無比な打撃で捉える。

バシッ!
 
途端にその無機質な物体は沈黙し、再び音を発する事はなかった。

ふふ、我が眠りを妨げる不届きものよ。そのまま未来永劫動くなかれ。

勝ち誇り、二度寝という勝利の美酒を味わおうという俺に、またひとつ別の障害が迫っていた。

「起きなきゃダメなんですよー!」

そう聞こえたかと思うと、突如として布団越しに何かが落下してくる気配が。

ボフッ!

「ふぎゃ!」

強烈な圧迫感。あ、五臓六腑にぃ染み渡るぅ〜! 歌舞伎役者の様なにらみと共に俺は轢かれたカエルのような気持ちになり、思わず声が漏れる。
 
「なーにすんだテメェはよぉ! 死んでしまいますでしょーが、カエルのよーに!」

俺はそう怒鳴るなり、轢かれたカエルの如き圧死を企む悪しき者を、布団ごとベッドの下へ吹き飛ばした。

「ふぎゅっ!」

派手に飛んで落ちた割には、布団で衝撃が吸収されたのかあまり音はしなかった。
その代わり、轢かれたカエルのような声はよく聞こえた。

先程から轢かれたカエルという表現に執着しているが、別に作者はカエルが好きでも嫌いでもない。閑話休題。

「うわぁ〜 ひどいですよ〜! ま、前がぁ」


,
の最初へ
 -1
 1
の最後へ

SNSでこの小説を紹介

ラブコメの他のリレー小説

こちらから小説を探す