この空の下で 1
この空の下で
わたしは……
あなたは笑ってるのかな?
私が出会う前のあなた
*
「ガチャン!!」
あぁ!!何で私ってこう失敗ばかりするんだろう。
不器用な人って何やっても不器用なのかな。
私は、粉々になったティーカップの破片に手を触れた。
「イタッ」
ザクッと破片で切れた指の傷から、緩やかに血が流れてくる。
……何やってるんだろう、わたし……。
情けなくて涙が出てきそう。
「あぁ、何やってんの!」
顔をあげると救急箱を片手に持った店長が飛んでやって来た。
店内のど真ん中で膝をついている私は明らかに周りの視線を浴びている。
「すいません!ホントわたし……」
「も、いいから」
諦めにも聞こえる声。
今度こそ、クビかな?
「それより、傷は?」
「えっ?」
「あ、血出てるな」
店内は、休憩室で傷の手当てをしてくれた。
「すいません……」
私みたいにドジな新人が多いのか、包帯の巻き方は丁寧だ。
「梨華ちゃんって今年で20だっけ」
「はい、そうですけど」
「……うちの娘と同じ年だからって、甘やかしすぎだな」
優しい目。父親の顔ってこういう顔のこというのかな 。
「へぇ、店長の娘さん私と同い年なんだ。じゃあ、来年成人式ですか?」