青い石 1
伝説と謡われる一つの石があった。
その石を手にした者は、富、権力、望む物は全て手に入る。
石を巡って略奪や争いが起きた。
人々は石を求め、同時に恐れた
そして500年の月日が流れた――
記憶から忘れ去られた石。
人々が伝承として伝えてきた事以外に、詳しい事は分からない。
人々は求めた。伝説の石を我が手に
石を求めて旅を続ける者。
はるか昔に創られた建造物、洞窟に入り、石を探す。
時は来た
石の中で¨何か¨が静かな鼓動を始めた。
誰にも知られず、ゆっくりと。
ただ、これだけは予感する。
人は、――――滅ぶ。
この世界には魔法が存在している。
火を出したり、傷を治したり、大抵の事ができる。
たが、魔法は精神力を消費する。
だから、使いすぎると魂が燃え尽きて植物人間みたいになっちまう。
都合の良いことばかりじゃないってこと
おっと、自己紹介をしておこう。俺はテイン、年は18
伝承の青い石を探してあっちこっち旅をしている流れ者だ。
今日も愛用の両手剣バスタードソードを腰に提げて、空を見上げる。
うーむ、いい天気だ。今日一日も素晴らしい始まりだ。
すると、クイクイと伸びをしていた俺の上着の裾が引っ張られる。
横を見ると、ちょっと俺より年下の女の子。あんまり背は高くない。
外見は全身真っ白なローブで黒髪、肌も真っ白。
いわゆる美少女ってやつか、くそぅ。いつもながら俺のハートをくすぐる仕草だぜ。
この子はアルト。
俺の相棒であるが、兼保護者としての権利も持ってる。
かなり無口で何か用がある時はいつも裾を引っ張るクセがある。
おかげで同じ所がびろんと伸びている
「どした、アル。」
大人な俺はいつものようにやんわりと応じる。
「…何か食わせろ…金欠男…」
前言撤回、毒舌美少女だ取り柄は容姿だけだ無口だが喋ったと思ったらいつもこれだ。口を開くな!!
それはともかくアルトの言う通り、俺達の所持金では何も買えはしない。今、俺達は己の腹を満たすため、森の中で狩りをしている。木々が生い茂り、枝の隙間から差し込まれる光がなんとも幻想的だ。しかし、相棒は周りをキョロキョロ見渡し、獲物がいないか目を凝らしている。