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キミは天使…
恋愛リレー小説 - ファンタジー

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キミは天使… 1

7月20日午後4時30分ご臨終です。拓哉「藍ッ!藍ッ藍ッ!!!!うぅ。」ボクの目の前で藍は天使になった。 
ボクの誕生日に―
―出会いは空―

「おはよう、母さん」
キッチンで朝食の準備をしている母に声をかける。
「あら拓哉、おはよう。めずらしく早いのねー、誕生日だからかしら?」
「ちがうよ。今日学校休むから連絡しておいて」
「あらーまたまためずらしいわねー。なにかあるのかしら?」
僕は返事の代わりにカレンダーを指差した。

カレンダーには今日の日付の脇にちいさな天使の絵が書かれている。
「あ…そっか、ごめんね拓哉。お母さん気が付かなくて…」
バツが悪そうに母さんは俯きながら濡れた手をエプロンで拭った。
「そんな気にしなくていいよ母さん!ちょっと河原まで行ってくるね!」
そんな母を心配させぬようにと僕はなるべく元気な声を出し笑顔を浮かべた。
「はい、気を付けて」
そして僕はぼろぼろのスニーカーを履き、藍色の世界へ飛び出した。
「もう三年も経つのね…藍ちゃん、拓哉を守ってあげてね」
拓哉が飛び出していったあと母はそっと呟いた。
朝焼け間もない時間なので周囲にいるのは犬の散歩かランニングに勤しむ人しかおらず、昼間の喧騒とは隔たりのある空間を僕は河原まで走り続けた。
3年前、藍が僕にくれた最後の誕生日プレゼントのスニーカーは、当時はぶかぶかだったものがいまでは少しきつくなっている。
藍が好きだったこの河原と朝焼けを土手の芝生に座って眺めるのがいつのまにか毎年の決まりになっていた。


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