初体験はお姉ちゃんそして…… 43
「結局ごらんの通り雨だから雑談でもしようか。」
「お兄ちゃんホッとしてるでしょ〜。」
「もう沙耶は鋭いんだから。」
「そう言う舞お姉ちゃんだってそう思ってるでしょ〜。」
「えっと……茜は?」
「私も沙耶と同じ意見。」
「ははは、紅茶に砂糖入れる?」
「沙耶のは入れて〜」
「私のも」
「了解。それとお姉ちゃんのコーヒー淹れたよ。」
「ありがとう。」
「それから二人にはピーチティーね。」
「ありがと〜」
「お兄ちゃんのコーヒーも持っていくね。」
「茜は気が利くな。」
「……で、私ははその男の子があんまりしつこいから『ほかに好きな人がいる』って言ってやったんだ。」
「へぇ。茜が告白されたとは。驚いたよ。」
「だって舞お姉ちゃんが前の彼氏に告白されたのだって中学三年生のときでしょ?」
「茜、その話題を持ち出すってことはイヤミ?」
コーヒーを啜っていたお姉ちゃんがギラリと目を上げた。
「舞お姉ちゃん怒んないで!」
「ふふ。そんなに慌てなくていいわよ。」
「沙耶はクラスに好きな子居ないのか?」
「いないな〜。」
「あら、そうなの?」
お姉ちゃんがびっくりした様な声をあげた。
「じゃあ逆に告白されたことは?」
「告白されたことはあるよ〜。」
「なんて返事したんだ?」
「『やだ』って言ったよ。」
「それは酷いんじゃないか?」
「何で〜?茜お姉ちゃんだって断ってるじゃん。」
「私は一言謝ったよ。」
「悪いことしてないよ〜。」
僕は
「なるほど」
とつぶやいた。すると茜が言った。
「お兄ちゃんは沙耶の言ってること正しいって言うの?」
「ある意味正論だなと思って。」
「何で?」
「確かにこちらに非はあまりないと思うよ。まあ謝ったほうがいいとは思うけどね。」
「じゃあ今度告白された時は謝るね〜。」
「そういう意味じゃなくてね。」
「だって〜沙耶は本命一本だもん。」
するとお姉ちゃんが言った
「あら、それは誰?」
「え〜それは……お兄ちゃん。」
「ぶはっ」
僕はコーヒーを噴き出してしまった。
「お兄ちゃんお行儀が悪い。」
茜が抗議の声をあげた。さらに茜は沙耶の方を向いて
「じゃあライバルだね。」
と言った。果たしてどこまで本気なのか判らないが
「じゃあもう少し考えてもいいんじゃないか?」
と言っておいた。
「それはSM禁止ってこと?」
と沙耶が言った。
「もう、せっかくお兄ちゃんが伏せて言ったのにはっきり言っちゃだめよ。」
茜と沙耶は二人で話を進めていく。最終的に
「後で二人で練習させてもらうね。」
と言った。
「ちょっとそれは……」
「SMの練習じゃないよぉ。」
「沙耶もがんばってやるから期待しててね。」
そういうと二人は部屋に戻って行った。
「お姉ちゃんどうしよう……」
「今日のところは観念しなさい。」
「はぁ〜」