人妻のひ・み・つ 73
………恐れていたことではあった。
誰か、私の知ってる人に、あの時の動画を見られるということ。
あの動画は瞬く間に拡散され、全世界に飛び火していることは覚悟していた。
「……エリオくんは、軽蔑する?」
「い、いえ、その…」
「ごめんね、私…」
「舞さんは悪くなんかないです……僕、これで、何度、その、抜いたか…」
エリオくんの正直な告白に、私はちょっと感動を覚える。
彼は養成所の頃からダーリンによくなついていて、私もよく可愛がった記憶がある。
あの忌まわしい出来事は……もういい。
「エリオくん」
「……はい」
「お風呂、入ろ」
「えっ」
「ダーリンには、もちろん内緒。正直なエリオくんに、最高のプレゼント、あ・げ・る」
「あっ、あのっ、舞さんっ」
まだ何か受け入れられないのか、それともものすごく動揺してるのか、エリオくんはその場で固まったままだ。
「ダーリンも大切。エリオくんも大切。だから…」
「はい…」
真っ赤な顔で頷き、服を脱ぎ始めたエリオくんを見て、私は浴室へと向かう。
脱衣所で服を脱いで中に入り、シャワーを浴び始めた。
思い出すと今でも悔しくて、それでも快感に負けた自分は情けなくて。
それをオカズに抜いた人間はこの世にたくさんいるだろう。
しかしそれでエリオくんの事を嫌いになっては、彼にももちろん、ダーリンにだって申し訳ない。
それなら…
「舞さん」
後ろから声がした。
「エリオくん…素敵ね」
現在は大学生で、学業と両立して芸能活動してるエリオくん。
子供の頃からスポーツ万能で、抜群の運動神経と鍛え抜かれた肉体の美しさはお茶の間にも知れ渡っている。
ダーリンには内緒で、彼に抱かれたかった私も、実は存在する。
「こっちに来て」
「はい…」
筋肉だけではない、下半身も私の思った通り、逞しい。