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得体の知れないドラマ
官能リレー小説 - SF

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得体の知れないドラマ 1

スクリーンに映像が映し出される。
何かのテレビドラマのようであるが、ホームビデオの様にチープな映像だった。少なくとも出演俳優に、今をときめく人気スターは一人も居ない。
画質や出演者のファッションから判断して30年以上前の映像だろう。
バブル期のドラマにありがちな、女性アイドル主演の恋愛ドラマのようだ。どこかで見たようなありきたりのシチュエーションだった。
セリフも「ねえ、私たちもう子供じゃないんだよ。」とか「ずっと前から好きでした」とか「私、もう大人だよ」とか…
当時のドラマにありがちなフレーズばかりを並べたといった雰囲気。工夫や個性が一切感じられなかった。
一応、脚本に破綻は無いし演技もそれなりに頑張っているが、このドラマのどこに視聴者を引きつける魅力があるのだろうか? 少なくとも、俺ならこんなありきたりなセリフは絶対に書かないし、もっと面白いストーリー展開をさせる。
そう思いながらも、このドラマを最後まで見てしまう。どんな目的でこんな映像が映しだされているのか、知りたかったからだ。
ドラマの筋書きは「主人公の女子校生がイケメンに恋をして、周囲のライバルを出し抜き、最後に結ばれる」という定番もの。ひねりが全くない。
ドラマは終盤に差し掛かり、主演女優が涙ながらに男に告白するシーンへと移る。
「私、あなたのことが大好きです」とカメラ目線で言ったセリフを合図に、唐突に画面がガクガクと揺れだし、映像が歪み始める。
「なんだ?」と思っている間に、映像の歪みがどんどん激しくなっていき、遂には女優の顔が抽象画のようにぐちゃぐちゃに歪み始めた。
「だーいーすーきーでぇえぇぇすぅー!だぁぁあぁああいぃすぅうぅきいぃぃぃデ・デ・デー!」
映像の抽象画が、異様な声で絶叫しだした。
「うおっ!?」
思わず、画面から目をそむける。


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