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緊急停止
官能リレー小説 - SF

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緊急停止 1

「きゃっ!」
女生徒の一人が悲鳴を上げた。トンネルを抜けると同時に、電車が急停車したのである。
慣性の法則に従って、少年達は雪崩のように車内の後方に投げ出される。
不気味な異音とサイレンの音が車内に響き渡る。
パニックを起こした乗客達が押し合い、もみあいしながら、トンネルを抜けた先に広がった光景を見て、さらに悲鳴を上げたり驚愕したりした。
前方には線路はなくなっていて、巨大な柱が何本あるか検討もつかないほどに乱立していた。
明らかに異様な世界だった。日本ではもちろん、世界中でもこんな風景は絶対にお目にかかることはできないだろう。
誰かが言った。
「電車から降りて線路を辿って歩くしか、帰れる方法はなさそうだな…」
いつの間にか乗客のほとんどが冷静になっていた。異様な現象…いや現実を目の前にして、感情を揺さぶられることをやめたのである。
電車でここまで来たのだから一本道である線路を歩けば、いずれ元の世界に戻れるはず。みながそう思っていた。
我先にと車両から降りようとする少年達。しかし…
「誰かくる」
そのうちの一人が声を出した。一同の血の気が引いた。
最初は黒い点にしか見えなかった。だんだんと大きく見えてきたと思ったら、それは、自分達よりもはるかに巨大な二足歩行の怪物だった。
黒とピンクの体色をしていて、外見はゴツゴツとしているが二足歩行する獣…むしろキマイラと言うべき形状のその怪物は、よくあるマスコットのようで妙に可愛らしく感じられた。
「な、なんだありゃあ?」
「ば、バケモンだ!」
少年達が口々にそう叫んだ。


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