PiPi's World 投稿小説

俺の開拓物語
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 0
 2
の最後へ

俺の開拓物語 2

一方、宇宙船の外では褌をしめた漁師風の男達が銛を構えて迫りつつあった。
本来この星に人類に酷似した生物は居ないはずである。事前調査でも町のようなものは確認できなかった。

なので俺達は外の彼等に気づくのが遅れた。
 そのことに気付いたのは、俺とヒルデガルトが外に出てみてしばらくしてからのことだった。
 周囲は開けていて、今の着陸でビビったのか大きな動物はいないようだ。
 少しずつ周囲を探索するため、自律ドローンを何機か発進させ、俺達も周囲を見て回る。
 これも軍の払い下げの装輪装甲車だ。俺とヒルデガルトはこれで周囲を走ってみることにした。着陸場所を選ぶ段階でみたとおり、海岸近くのこの辺りは割と平坦で、草も多く生えていて、土壌の豊かさもありありとわかる。

「マスター、あそこにタヌキのような生き物が。かわいいですね。データベース照合します」
「ああ、頼む。かわいいものだな。毒持ってなければいいんだが」

 助手席からの声で、俺もそっちを見ると何匹かのタヌキのような原生動物の姿があった。

「該当する地球生物はありませんね。やはりこの星の独自種のようです」
「だとすると少し気を付けないといけないな。少し近くで見てみよう」

 俺がそのタヌキみたいな生き物の方に装甲車をゆっくり走らせると、見慣れない物体の接近に警戒されたようだ。ササっと逃げてしまった。

「もう、マスター。ここは人里ではないのですから」
「そうだったな。すまん。次は海岸へ行ってみよう」

 元が軍用装甲車だけに、悪路走破性も高いが地形もそう悪くない。
 所々に木々が生える草地を、すいすいと走ってくれる。わずかに聞こえる電動モーターの音が心地よい。
 大気成分計や、大型飛行動物などを探すためのレーダーにも、「木星」号の状況を知らせるモニターにも、異常は見当たらない。
 時折、虫や鳥が飛んでいるのが見える。渡り鳥のように、編隊を組んで青空を自由に、風に乗って悠々と飛んでいる。俺も、そんな自由な生活がここでできるんだな。そう思うと、こみ上げてくるものがある。
 さらに少し走ると、眼前に海岸が見えてくる。


 とりあえず装甲車の各モニタの表示を見てみるが、おかしな数値などは出ていない。
 海岸は、砂浜が広がってるがその直前には所々に岩場がある。岩場に当たるまで続く草地の所々に木々が生えているのも同じだ。
 岩場の合間を縫って、道のように開けた場所を見つけて、砂浜まで出てみる。
 俺達の乗る装輪装甲車は難なく砂浜の砂の上まで下りて行けた。
 
「綺麗な浜辺だな。ちょっと降りて見てみよう」
「はい、マスター。地球のリゾート地のようで素敵です。お供いたしますね」

 砂浜は装甲車で乗り入れられるだけに、人が歩くくらいなら問題なさそうだ。装甲車からはあまり離れないようにして、ぶらりと歩く。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す