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未来の愛玩動物工場
官能リレー小説 - SF

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未来の愛玩動物工場 4

「どうでしょう、お泊まりにされますか?」
「そうするか……序に二人に見合った衣類を用意してくれないか?」
「仰せのままに」
老紳士は深く頭を下げた。


少しばかり急だったので客室は少しばかり狭いが詠二は気にせず預けていたスーツケースを置く。そして留守電モードを解除したスマホを操作する。
「詠二だ」
『どうだったかな?』
「付き合いでキャンセル品と言い値で一匹買ったよ」
『ほほぉ……お主にしては珍しいのぉ。ふむ紅蘭に玉蘭か……何だ軽めじゃないか』
「だからいいんだよ」
詠二は服を脱ぎシャワールームに入る。
至ってシンプルであるがこれがVIPルームになるとバスタブやトイレに加工された少女や少年が置かれている。通称“家財奴隷”、強化された心肺により哀れにも道具にされた自分を晒されるのだ……愛玩動物でも最も特異な部類になるので競争も激しい。瀬川家には無いのは人間性を狂わすと言う事だ……我が父は本来なら瀬川家を継ぐ男ではなかった、妾の子であったが本妻の子が躓き、平凡に暮らしていた父が抜擢された。躓いたのが家財奴隷に異常なほど拘りその末に非業の死を遂げたと聞かされた。
「それとあんまり代理を頼まないでくれ」
『兵役明けで暇こいでいる程ウチも余裕はないからな』
父からの言葉にため息をつく。
スマホは通話を終えた事を音声で知らせた。
「流石に“叩き上げの瀬川”か」
父が政財界で言われている綽名だ。良い意味も悪い意味も有名なのだ。
『詠二様、お休みの所を申し訳ございません』
「?」
『是非、お近づきになりたい者が訪ねてまして……』
次男坊でもなりふり構わずとは……まあいい、軽く相手をするか。


そのなりふり構わず繋がりを求めたのは新華人とも言われている日本に帰化した中国人商人夫婦だ。どうも華人社会でのトラブルに巻き込まれたらしい。
「……話は分かりました。ですが瀬川家の人間としては力になれません、華人には華人の理があり日本人が口出し出来るモノではないです」
「ソウデスカ……」
気落ちする夫婦に詠二が言う。
「とは言えここまで知ってしまった以上瀬川財閥の執行役として見過ごすわけにもいかなくなりました」
「?」
「仲裁するように助言をしましょう。うってつけの方を知ってますので」
傍で聞いていた老紳士は指示を出すと部下らが動く。
「アリガトウゴザイマス」
「いえ、瀬川財閥としてはリスクを回避するのは責務ですので……」
詠二は冷や汗を出していた。世間に露見していれば出資している企業の今後に関わる程の問題になっていたのだ。



数日後、詠二は一人暮らし用の自宅に居た。なんちゃって学生服を模した制服に身を包んでいるが紅蘭はブレザータイプ、玉蘭はセーラー服である……接待役の老紳士は他にも私服や各種コスプレ衣装も調達、お陰で一部屋がウォークインクローゼットになった。
「(まあ、次回はちゃんと買わんとなぁ)」
「ご主人様っ……お客さまです」
紅蘭が静々と頭を下げると詠二は頷き玄関へ……これでも平均的な戸建ての住宅よりは少々広い程度だ。
「これは……劉さん」
「コノタビはセワニナリマシタ……お陰で相手とも和解ニナリショウバイをツヅケラレマス」
あの後父親と兄貴が動いて華人社会の大物に仲裁を依頼、最悪の事態寸前になっていたそうで今頃は勝手に事を進めようとしたトラブル相手側が粛清の最中だ。
「気にせずに……貴方がたが知らせてくれなければ親父と兄貴にどやされる所です。どうぞ」
劉さん夫婦はやや緊張した表情でリビングへと向かう。そして色々と話をする……やはり現場レベルで遮断しているのか初めて知った事実が可也多かった。
「……つきましては偉大人氏が是非招待したいと、詳しい日取りは後日知らせると」
「わかりました、親父と兄貴も同行させますが」
「はい」
忙しくなるな……紅蘭と玉蘭の披露もはやめないと。

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