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インスタント娘
官能リレー小説 - SF

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インスタント娘 1

男がいた。
名を毒島 太(ぶすじま ふとし)という。
その名の示す通り、酷い醜男で、今年30歳になるが童貞であった。
「フゥーッ!フゥーッ!魔法少女ルリカたん萌え〜!!」
ある日の深夜、太は萌えアニメを見ながらオ○ニーをしていた。
「あぁ〜!!ルリカたぁ〜ん!!イクよぉ〜!!」
太は絶頂に達した。
その瞬間、テレビが爆発した。
ボオォ〜ンッ!!!!
「うおぉ〜っ!!?」
部屋中に煙が充満し、むせる太。
ふと、声が聞こえた。
「…まったく、我が先祖ながら何と情け無い姿だ…」
「だ…誰だぁ!?よくもテレビを〜!!」
やがて煙は晴れ、そこには一人の青年が立っていた。
見た目は爽やかでハンサム。
太とは正反対の好青年だ。
しかし服装がおかしい。
銀色のピッチリしたタイツのようなスーツを着ている。
「私の名はエイブラハム・毒島!」
「な…何だ!?芸人か?」
「芸人ではない!30世紀の未来から来たあなたの子孫だ」
「子孫…?」
「そうだ。我が家系の危機を救いに来た。太さん、あなたは生涯、恋人も作れず結婚も出来ない!」
青年は力強く宣言した。
「えぇ〜!?」
太は驚いて飛び上がった。
だが、少し考えてみる。
「ちょっと待てよ!だったらお前は何なんだ?結婚出来ないなら子孫なんて存在するはず無いじゃないか!」
「そこだ。私は自己の存在を確立させるために危険を冒して過去へやって来たのだ。これをあなたに授けよう」
そう言って青年はプラモの箱のような紙箱を手渡した。
表面には『Instant Wife』というロゴと裸の女性の絵が描いてある。
「何だコレ?」
「簡単に言うと女性を作るセットだ。25世紀半ばに発売されて、すぐに人道的理由から製造禁止となった幻の品だ。30世紀からこの時代に来る前に、25世紀に寄って直接購入して来たのだ。詳しくは中に説明書がある。そっちを読んでくれ。では…」
「え?もう帰るのか?」
「うむ、タイムスリップは重罪だからな。見付かれば終身刑は免れないだろう」
「そ…そんな危険を冒して俺のために…ありがとうエイブリアン!!」
「エイブラハムだ。それにあなたのためにやった訳ではない。毒島一族の血を絶やさないためだ。では、これにて…!」
その途端、太は急速な眠気に襲われ、瞬く間に意識が薄れ始めた。

………
……


「……んぁ?」
太は目覚めた。
『…この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りしました…』
壊れたはずのテレビが移っている。
「…夢だったのか、妙にリアルだったなぁ…。まぁ、都合良すぎるよな。女の子を作るセットなんて……ん!?」
テレビを消そうと立ち上がろとした太の足元に、あの箱があった。
「うおぉ〜っ!!!マジかよぉ!?夢じゃなかったぁ!!イヤッホォ〜〜ウ!!」
太は興奮して絶叫した。
『うるせぇ!!』
「す…すみませぇ〜ん」
隣の住人に怒鳴られる。
ここは築30年のボロアパートなのだ。

「よし!気を取り直して、さっそく作ってみるか」
太は箱を開けた。
中にはプラスチック容器やビニール袋に入った薬液がいくつか入っていた。
「本当にこんなんで人間が出来るのかよ…?」
太は半信半疑ながらも説明書を片手に作業を行った。
「…まず風呂桶に水を張り、溶液A(羊水の素)と溶液B(栄養分)を入れる。これで風呂桶が母胎の役割を果たす。次に溶液C(人工卵子)と溶液D(人工精子)を同封されているプラスチック容器の中に入れて良く混ぜる。それをさっきの風呂桶に流し込む。最後に溶液E(成長促進剤)を入れて、後は一晩待てば出来上がり…」
そして太は全ての作業を終えた。
「ふぅ…もしかして俺、騙されたのかなぁ?」
しかし、もしこれで本当に女の子が出来れば儲け物だ。
太は希望を抱いて眠りについた。

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