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夜道の駕籠
官能リレー小説 - ファンタジー系

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夜道の駕籠 1

人気の無い妖しげな森を一台の駕籠が走っている。担ぎ手は、大柄で屈強そうな男二人だ。
「いやぁ〜、助かったよぉ」
駕籠の中にいる人物がそう言った。
「お安い御用ですぜ。兄貴ぃ」
駕籠を担いでいる二人の男が答えた。
二人とも額に角があり、背中には黒い翼がある。どう見ても人ではない。
彼らは鬼と呼ばれる妖怪の一種だった。
「それにしても兄貴の神通力は凄えっすね。人間を騙して金品を巻き上げるなんて朝飯前じゃねえですか」
「まあねぇ。俺様ほどになればちょろいもんさ」
得意げに答える駕籠の中の人物。彼は、この辺り一帯を支配している白馬の鬼の新五左衛であった。普段は山の奥深くにある洞窟に住み、滅多に地上へ降りてくることはないのだが、今日はたまたま近くを通りかかった行商人から財布を奪ったところである。
「でも、いいんですかい? こんなことをしちまって?」
「大丈夫だろ。財布を無くしたことすら気づいちゃいないよ」
そう言って笑う新五左衛。
「それより…もうそろそろかな?」
「へい。間もなく到着しますぜ」
駕籠の中から外を見ると、住みかにしている洞窟が見えた。
しかし、何か様子がおかしい。洞窟の前に誰かがいるようだ。
(なんだ?)
新五左衛は目を凝らした。二人の鬼も足を止めた。
その人物は、洞窟の入り口に立ち塞がるように立っていた。
背丈はかなり小さい。子供だろうか。
着ているのは白装束。そして頭には白い狐面を被っていた。
異様な風体だが、どこか神々しさを感じさせる不思議な雰囲気を持っている。
「なんだ? 何者だ!」
「俺は、正義の使者・コン太だ! 悪しき者の悪事は必ず暴かれるぞ!」
「はぁ?」
「とぼけても無駄だ。お前らが奪ったものはちゃんと返してもらうぞ」
そう言うなり、コン太と名乗った謎の少年は木刀を振り回しながら飛びかかってきた。
「うわっ!?」
慌てて避ける新五左衛たち。危うく殴り倒されるところだったが、なんとか避けきった。
「おい、こいつは何の真似だ!?」
担ぎ手の鬼二人が前後から少年を押さえ込む。しかし、コン太はそれをものともせず、暴れまくっている。
「放せぇー!!」
「大人しくしろ!」
「これ以上暴れたら怪我をするぞ!」

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