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見習い魔術師セオドア
官能リレー小説 - ファンタジー系

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見習い魔術師セオドア 2


「炎竜石が採れるチャンスなの。お願い。採集に付いてきて」
「炎竜石−−−−−−−炎竜石ですって!?!」

セオドアは驚愕して叫びだしてしまった。
炎竜石は、火属性の強い魔力を秘めた貴重な石で、魔術師なら垂涎の的なのだ。
しかし、魔窟のごとき危険なフィレス山でしか取れない。
それも火山活動が活発化しているときにしか採集できない希少なものなのだ。
採りに行けば、ほとんどの者が死ぬ。
登るだけでも、多くの魔物や、時には魔族とさえ遭遇するという危険な場所だ。

「無理ですよ!火口になんて行こうものなら、途中で魔物に殺されます。よしんばたどり着いても、炎竜の女王が待ち構えています。先生、死にに行きたいんですか?」
「そんなわけないわ。でも、この機会を逃したら次はいつになるか。ことによると私達が生きている間には機会なんてないかもしれないわ」

アドリアナは、熱情のこもった声で答える。
学究としての欲望、すなわち知識や研究、未知なるものに対するあくなき欲望が、彼女を突き動かしていた。

「そりゃ、そうですけど……」
「危険は承知よ。だから指導魔術師としての同行指示ではなく、同行をお願いしているの」
「断ってもいいってことですよね」
「そうよ。たとえ断っても成績評価に響かないと約束するわ」

アドリアナは指導魔術師として、セオドアに指示して連れて行ってもいいのだ。
あえてお願いをするのは、これが危険な行為だという自覚と教育者としての責任感からだろう。
セオドアの心中でも、恐怖の横から欲望がすこしずつもたげてくる。
彼とて魔術師の卵、知識欲は旺盛だ。
希少な炎竜石が手に入るかもしれない、そのチャンスがある。

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