俺とアマゾネス剣奴と巨乳姫剣奴 21
「さすがは領主様だな…」
「さて…他に私に稽古をつけて欲しい者はいるか?」
マドセン親方が感嘆し、キスネメアは自身の従者に汗を拭かせながら、別に勝ち誇るでもなく、呼びかける。
マドセン親方は、ブリュンヒルデがこの程度で心折れる女だとは全く思っておらず、芯の強さについては全幅の信頼を置いていた。
「ではわた「いや、お前はブリュンヒルデについてやれ」は、はい…」
マルティナが名乗りを上げようとするが、マドセン親方が被せるように言い、さらに目配せして制止した。
ではなぜ制止したのかというと。
(マルティナも勝つことはできないだろう。復仇のような気分で逸り立っていては、尚更。そして負ければマルティナが要らぬ心の傷を負い、ブリュンヒルデも物が見えなくなるほどに憎悪を掻き立てられて、その力を出せなくなるだろう)
そう思ったマドセン親方の気持ちを知ってか知らずか、マルティナは素直に引き下がってブリュンヒルデに付いて行った。
マドセン親方が練習場に意識を戻した時、名乗りを上げる男がいた。
「では俺が」
「お前の名は?」
「ノリスと言う者です」
「ほぉ〜。あの"蒼龍のノリス”か。いいだろう」
彼が志願すると、ほかの剣奴達も再びどよめいた。この訓練場の男性剣奴の中でも名のある男で、前のシーズンに活躍して一躍名を轟かせた男で、将来チャンピオンにもなれるのではないかと噂されている。
周囲がどよめく中、それを受けたようにノリスが胸を張る。
「領主様相手に稽古をつけていただけるなど、何たる光栄。いざ!」
「なかなかの度胸だな。面白い!」
(ノリスが名乗りを上げたか。まあよかろう……昨シーズンに大暴れしたはいいが、天狗になっている。領主様に一度ぶちのめされた方が、良い勉強になるだろう…)
!!!
「何っ!」
「どうしたノリスとやら。油断したか?」
マドセン親方がそう思った瞬間、一瞬で距離を詰めたキスネメアが強烈な斬撃を入れ、ノリスが全力で受け止めていた。
(一瞬で懐に飛び込まれた!領主様を女と思っちゃいけねぇようだな)
(何とか止めたか。面白い)
一瞬だがノリスが戦慄したのを、キスネメアも見逃さない。ニヤリと笑って言い放つ。
「まだ甘いな!」
「うおおっ?!」
ガンガンギン!
キスネメアが右に左に、激しく連撃を繰り出し、ノリスは防戦一方になっていた。