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エルフイーター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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エルフイーター 1

エルフが世界の覇権を握る直前の時代。
人間は奴隷であり、エルフの生体実験や労働に従事させられていた。
半獣半人のリザードマンによる反乱組織に対しエルフの警備隊による弾圧と制裁が日々、行われていた。
リザードマンはエルフ以前の支配者であった旧種族の遺跡からダンジョンを見つけだしたことで、エルフの弾圧から逃れて潜伏していた。
悲鳴をあげて壁際に追い詰められているのは、美しい金髪とエメラルドグリーンの澄んだ瞳の美少女であった。
日焼けした褐色の肌でもなく、エルフと同じ白肌の侵入者をリザードマンの指揮官が驚きの表情のあと、目を細めて見つめていた。
手下どもを制止すると、リザードマンのガルフは怯える美少女に近づいていく。
華麗なドレスであった衣服は、逃げている間に手下どもが手荒につかもうとしたせいか無残に破けていた。
胸元を華奢な腕で隠して立ち尽くしている美少女は、見たことのない異形のワニのような頭部の者を涙目で見ていた。
ガルフは舌なめずりをすると、少女を肩にかつぎあげた。
手下たちはそれを見て、残念そうにそれぞれの持ち場に戻っていった。
ガルフがたまたま外界ではなく、地下に戻っていて騒ぎに気づかなければ、手下どもは少女をなぶり殺してしまっていたにちがいない。
少女は巨漢のガルフにかつがれて運ばれている間、暴れたりしなかった。
正直、ダンジョンの通路を追い立てられて、全力で走りまわっていたのでひどく疲れていた。
ガルフの鼻先を少女の汗ばんだ肌の匂いと人間では意識できない牝特有のかぐわしい匂いがかすめる。
特にガルフは視覚、嗅覚、聴覚もふくめて他のリザードマンよりも優れている。
だが、ガルフは少なくとも地下に残されている下級の兵どものように下品ではなかった。
それでも股の間のあたりがうずいている。
ガルフは警戒しつつ、胸の奥がざわつくのをこらえていた。
エルフが送り込んできた刺客の可能性もある。
少女は人間でも生まれついての王族として育てられた姫君である。
エルフもリザードマンも存在しない世界から漂着した者であった。
皇女アンジェリカをガルフは、自室に保護することにした。
手下の下級兵どもには、刺激が強すぎる。
ガルフは、地上でエルフの騎士団との戦い、魔力を使い尽くして休養のために戻った。
魔力回復には禁欲の儀式が性欲の強いリザードマンにとって短期間で魔力を回復するのに都合よく、そのためにわざわざ戻ったのだが。
同じ頃、地上の辺境にもう一人の漂流者が、アンジェリカを探すために出現していた。
辺境地域にはエルフではなく、エルフとリザードマンの覇権争いを避けて逃げてきた人間の小村があった。
あった、というのはちょうどエルフの辺境警備隊によって、小村が襲撃されているその瞬間だったからである。
騎兵十数騎、歩兵なし。
自分の身の安全とひきかえに情報を提供した者がいた。
リザードマンの潜伏がないと判断して小規模の兵数で辺境警備隊は小村の制圧を実行した。
焼かれる小屋のような家と立ち込める煙の中を、顔立ちに幼さが残る少年が咳ばみながら、必死に走っていた。
少年は一年前にもエルフ兵によって居住地を追われたことがあった。
捕らえられた者が戻ることがないことも、すでに把握していた。

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