PiPi's World 投稿小説

なりゆきでアイテム屋の経営者になった話
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 8
 10
の最後へ

なりゆきでアイテム屋の経営者になった話 10

「ルイ、お腹がおかしいの。痛いって言うか、苦しいって言うか。こんなの初めて。」
「それはスライム腹で急速に妊娠してるからだろう。明日には下腹部が膨れだす。」
「ふぅ、ぅえぇっ。ひく」
自分が妊娠した、それもモンスターの子供だと改めて考えるとロゼッタは涙を堪えられなくなったがそれでも前へ進んだ。
ようやく地図に書かれている地点までたどり着くとそこには黒いビキニアーマーをまとった角と翼竜の羽の女が待ち構えていた。
微笑んではいるがそれは決して友好的ではない笑みだった。
「待伏せて居やがったか。」
「そんな!なんで?」
「知るか!餌になる雌がよっぽど少なかったんじゃないか?」
「嫌よ!モンスターの子を抱えたまま死ぬなんて!」
「だったら切り抜けるぞ!」
そう言うとルイは盾を前にして雌ドラゴンに飛び掛った。
ロゼッタも全裸で剣を斜め下に構えて続いた。
雌ドラゴンの表情が狩の顔に豹変する。胸周りが急激に大きくなり、人間では考えられないほどのどを膨らませて「ぎょぉぉぉぉおぉぉぁああ!!」と咆哮をあげた。
まさか人間のような体系が崩れる建物より大きな音を出すとは思わなかったロゼッタは体が竦み、勢いあまって転んでしまった。
知識のあったルイは構わず切りかかった。
雌ドラゴンの肌に剣がぶつかるとそこは切れて赤い血が出てくるがそれは斬撃による出血というより包丁で指を切った程度の出血であった。
が、切られれば痛いのだろう。雌ドラゴンは怒ってルイを追いかけだした。
ロゼッタは起き上がるとその背後を襲った。
「やぁ〜!」
背後から肩甲骨の間、心臓を狙って剣をつき立てたつもりだが狙いが上にずれて背中と項の間から喉に剣が突き抜けた。
叩いて血を流させるのがやっとの相手にロゼッタは一撃で貫いたことにルイは驚きながらも焦りを覚えた。
急所を外しながらも致命傷に近い深手を負わせられたドラゴンは厄介だからだ。
雌ドラゴンは貫かれながらも目の前のルイに炎を吐き出した。
裂かれた喉から炎が漏れ出すのもお構いなしの勢いだった。
ルイはそれをかわそうとせず、剣を振り上げて喉から飛び出すロゼッタの剣を斬り上げた。
ロゼッタの剣は雌ドラゴンの顎を割り、端正な顔を切り裂いて止まった。
剣が小脳に達して雌ドラゴンは息絶えたのだ。

「ルイ、大丈夫!?」
「大した事ない。が、痛むから触らないでくれ。それより凄いぞ!ドラゴンを仕留めるなんて。これだけでもかなりの成果だ。」
そういってルイは短剣を抜き取ると雌ドラゴンにつき立てた。
見た目が人間なのでロゼッタは思わず止めようとしたが相手がモンスターだと思い出してやめた。
ルイが雌ドラゴンの鱗でもあるビキニアーマーを剥がす所は異常者や追いはぎに見えた。
さらに最初の貫通傷から胸を切り開いて心臓をえぐりだすところなどはまさにそれだった。
ほかにもいろんな所へと傷を伸ばすように切り開き雌ドラゴンを解体していった。
「これだけあれば…当面は…」
ルイの体がブルブルと震えだし、がくりと膝を着いた。
「ルイ!?」
叫んで近づくロゼッタに倒れるようにルイは全身火傷の苦痛に気を失った。
「ルイ?ルイ!」
何度呼んでもルイは目を開かず振るえは大きくなっていった。
ロゼッタは荷物を背負い、ルイをお姫様抱っこで抱えて洞窟を走り出した。
鬼気迫る勢いにロゼッタに気づいたモンスターは道を開けた。
まれに襲い掛かろうとしても追いつけないか蹴り飛ばされて壁に叩きつけられるかだった。

外に飛び出して半ば廃墟になった大通りに着くと泣き叫びながら民家に助けを求めた。
全裸の娘が男を抱えて走り回る姿に少ない住民は何事かと外に出てきて、事情を察した住民が応急手当を施して馬車に放り込んだ。
乗合馬車であったが特別に時間外で出発してくれた。
ウェストンパレスに着くころには応急手当の甲斐あってルイは目を覚ました。
「ルイ、目を覚ました?待ってて、もう少しで街に着くから。すぐに病院に行くからね!」
あの洞窟を抜けてきたのは潜在能力開放のおかげかと考える自分の頭が柔らかい物にの競られていることに気づいた。
住人から貰ったボロ毛布に身を包んだロゼッタの膝枕に心地よさを感じながらルイは再び気を失った。

馬車は停留場へ向かわず町医者の家の前で止まってくれた。
ロゼッタはお礼を言い、家に飛び込んで医者に何から説明したらいいのか混乱しながら助けを求めたのだった。

ルイの治療は2時間程で終わった。
ロゼッタは医者が貸してくれた患者衣を着てベッドの側でルイが目を覚ますのを待っているとセクシーな金貸し、ヴァレリアが訪れた。
「あ、ヴァレリアさん…」
まだ返済の目処も立てていないロゼッタは本能的に逃げ出しそうになったが何とか椅子に座ることを続けた。
「災難だったねぇ、お嬢ちゃん」
「すいません…」
消え入りそうな声で何とかそれだけを搾り出した。
「謝るこたないさ。お嬢ちゃん達は逃げもせず返そうとしてるんだ。無利子無担保無期限だからって遊ばずにね。」
「…はい…」
親に怒られて言葉が見つからない時のように「はい」しか出てこなかった。
「で、治療費、出せるのかい?」
「それは…」
正直貴族だから商売については多少は知識があったが、ルイが集めてきたアイテムの価値はさっぱりだった。
それをヴァレリアに出していいものなのかどかもわからないでいた。
「しょうがないねぇ。特別に立て替えておいてやるよ。借金は増えるけど今、ここを追い出されるよりはいいだろ?」
「ふぇっぅえぇ…ん。あり、ありがとう…ごじゃいますぅ〜」
ルイが目を覚まさず心細くなっていたところを優しくされてロゼッタは泣き出してしまった。
そんなロゼッタの頭をヴァレリアはポンポンと撫でながら心の中で「可愛い上にチョロイ娘だねぇ」と心配を感じながらも苦笑した。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す