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デッドエンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デッドエンド 75

反射的に右手が背にのび、鉄刀を抜き放っていた。
私は少し迷ったが、マクシムの困ったような顔に、結局その要求を受け入れた。
ありがとう、とかすかなつぶやきが耳に入る。

「夜が明ける」
マクシムが、ふと気づいたように言った。
空が白みはじめている。
彼はランプを消したが、顔の判別のできる程度には、室内は明るくなっていた。
「班の連中が戻るまで時間がある。ここで仮眠をとるといい。起きたらすぐに、峰に入る道を教えるから」
「…今すぐ、教えてもらうわけにはいかないのか」
「君は見たところ上位ナンバーみたいだが、だからって疲れないわけじゃあないんだろう?休んでおいた方がいい。峰に入るのも楽じゃない」
「あなたは、その間どうするんだ?」
マクシムは目を丸くした。
「何か変な心配をしているのか?」
次いで、おかしそうに笑い出す。
「心配はいらない。俺は外で見張ってるし、変なことしようったって、君相手じゃ指一本触れないうちに殺されておしまいだ。俺は弱いからな」

マクシムが妙な振る舞いに及ぶと、本気で思ったわけではない。警戒するのは単に習い性というやつだ。
私は大人しく、彼の厚意に甘えることにした。
食事と睡眠は、とれるときにとっておくべきなのだ。
入り口付近の壁にもたれて膝を立て、刀を手元に置いて、眠る体勢に入ると、マクシムがなぜかあきれた顔をした。



マクシムに連れられて外に出ると、日はだいぶ高くなっていた。
たっぷりと睡眠をとり、気力は充実している。

道中マクシムは、私に峰のことを知る限り語ってくれた。
最初に想像したよりも、彼はよく女官たちのことを知っていた。年の近いものならば、名とナンバーもわかるのだ。
それもそのはずで、女官の子供たちは、八歳までは同じように育てられていたという。
幼児のうちは、崖底に降ろしても生きられないからだ。

ブロンズクラスの女官が、彼の知る限り十二名。
そしてシルバークラスが三名。うち一人は首長その人だと彼は言った。
「首長のナンバーは18だ。妹といっても、次期首長として隔離されていて、俺は見たこともない。年は君と同じくらいかな。それから16が、金髪のエディット。黒鉄の第一種兵装を許されているのは、彼女ともう一人だけだ」
もう一人。
その名がそのまま続くものと思って、私は待っていたのだが、彼はなかなか口を開かなかった。
「マクシム?」
「…もう一人、」
うながすようにのぞきこむと、彼ははっとした顔で続けた。

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