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デッドエンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デッドエンド 4

船でしばらく様子を見ていたが、収まる様子がない
「出せ」
「ヘイ」
船頭との短いやりとりに屋根付き船が動く
小さくなるリオンと子供達
その顔は子供達とじゃれるお兄さんのように困ってるようで、どこかイキイキしている
(…なにを名残惜しんでいる。いつも通りに戻っただけでないか)
私は寝ころぶと顔の横に食べ掛けた果物が転がった
それを掴むと船の外に投げ捨てる
果物の着水する音は船が波をかき分ける音に普通かき消され音が、私の耳には聞こえた
この耳に何度命拾いをしたことか
耳を澄まし辺りを探りながら私は目を閉じた
目を瞑ると心地良い潮風が自分の黒髪を撫でるのを感じた
そして港から離れる船の甲板から港のほうに目を向けると人が船に向かって泳いできていた
(ん?あいつは…)
それは紛れもないリオンだった
「ちょっ、そこの船まてぇ!!」
世界スイマーのごとく泳ぐリオンの姿をみてから私は船長に話しかけた
「すまないが、知人が船に乗り遅れたのですこしスピードを落としてくれないか?」
そう話しかけると船頭は快く承諾してくれた
「この船にはあんたしか乗ってないからな。すこしの間とめてやろう」
船が徐々に速度を落とした
止まる船にリオンはへばりつく
全身濡れて動き辛いのだろう、もがいている
襟首を掴み、引き吊り込むと、転がり込む
私が寝ていた空間が水浸しになるのを見て無意識に舌を鳴らした
「ハァ・ハァ…まいった」
「情けを掛けたつもりか?迂闊過ぎるぞ」
かつての私を私が叱っている気分だ
「そんなつもりは無いんだが…」
「ふん、よく逃げ出せたものだな」
私はリオンを突き放し濡れてない所に座る
「ああ、もみくちゃにされて財布からお金がこぼれたらそっちに殺到したんだ
その隙に逃げてきた」
「災難だな」
「子供達を甘く見ていたよ」
「お前のことじゃない」
苦笑するリオンを言葉で突き放す
岸に目を凝らすと、そこでは子供達は拾ったお金を奪い合っていた
馬乗りになって拾ったお金を奪う子供
拾ったお金と商品を抱えて逃げる少女の髪や服をちぎるほど引っ張り、奪う少年
小さな地獄絵が繰り広げられていた
「あれがお前の施した結果だ
見事だな。No.制を施した奴みたいに新たな火種を巻いたんだ」
私の言葉にリオンはだまってうなづいていた

さらに話続ける

「情けをかけたつもりかもしれないが、結局は無駄な争いを引きおこすだけだろう。まるで滑稽だな」

そう話終えるとリオンの周囲には暗い空気がただよっていた

(さすがにいいすぎたか?しかしなぁ、いまさらあやまってもな…)

そんなことを考えているとリオンが突然言葉を発した

「たしかに俺がしたことは結果的には悪かったかもしれませんが、そこまでいうことですか?あなたは冷めたい人ですね」

怒りを込めた言葉に私もつい反論してしまう

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