デッドエンド 136
リオンは、手をうつぶせた下腹部に差し入れてきたと思うと、かたく閉じた腿に指を這わせた。
そのまま内腿をこじあけるようにさぐってくる。
奥まった場所を指がなぞったとき、愕然とした。
そこはぐっしょりと濡れて、ひくひくと口を開いていた。まるで、待ちわびているかのように。
「あッ…やっ、どうして…っ」
「クリスがなかなか起きないから」
「え?えっ?」
悪びれないリオンの答えに、頭が真っ白になる。全然理由になっていない。
シ、と彼は人差し指を唇にあてた。
「静かにしないと、レネーのやつが起きちまう」
「!」
出された名に慌てて、首を捻って室内を見渡す。
部屋の隅に、いつの間に帰ってきたのか、毛布をかぶって丸まっているレネーの姿があった。
規則正しい呼吸音が耳に入る。
まだ眠っている。
「んっ」
閉じた腿の上に跨がりながら、リオンが覆いかぶさってくる。
硬く、熱く脈打つ、湿りを帯びた何かが臀部に押しつけられた。
何かなどと考えるまでもない。ぎくり、と意思に反して体がこわばった。
「なっ…何で、こんな…」
私より先に起きていたとはいえ、そう何分も違わないはずだ。どうしてこう準備万端なのだ。
「っ、バカ、早く放せ!」
小声で背後のリオンを叱りつけると、彼は耳元でため息をついた。
「バカって言うのやめませんか?傷つく」
「止めてほしいなら早く離れ…っ、あんッ」
リオンの指に戯れるように肉芽を弄られ、びく、と足が震えた。起き抜けなのに、やたらと体が敏感になっている。
「昨日はあんなにかわいかったのに…もっと、もっと、って」
「そ…っ、そんなこと、言ってな…」
無我夢中の中で、彼にそんな、甘えてねだった記憶など…
ない、と断じかけたところで、かすれた自分の声が耳によみがえってきた。
『もっと…!リオン、もっと…っ、まだ…やめるな、っ…』
「…………っ」
羞恥のあまり発火しそうだった。顔が熱い。私はそのまま枕に突っ伏してしまった。
「ね?」
言ったでしょう、とリオンが得意げに笑う。
「『ね?』じゃない!」
「中出してってもねだられたけど、俺我慢してちゃんと外に…」
「もう言うな!そういうことは言うな!」
耳をふさぐか口を封じるか、迷う私を気にもとめず、リオンは続けた。
「でもうれしかったです。まさか舐めてくれるなんて思わなかっ、」
ガッ、と入れた肘が、リオンの腹部にヒットした。
相当油断していたのか、彼は悲鳴を上げながら、腹筋に鎧われた腹を抱えた。
「〜〜っひでえや、クリス…」
「自業自得だっ、もういいからどけ!」
涙声のリオンに怒鳴りつけながら、その腕から抜け出そうと身をよじる。
だが逆効果だった。
うつぶせたままの腰を、彼の手がぐっとつかんだ。
そのままリオンは無言で、押し付けていた熱いものを、背後から腿の合間にさしいれてきた。