PiPi's World 投稿小説

デッドエンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 131
 133
の最後へ

デッドエンド 133

その二晩目が、もう六日前になる。
盛りのついた十七歳のために、お茶に混ぜる軽い媚薬を調達してやるくらいは、許されてもいい日数だろう。

なにしろ、初めて同衾した女と、四六時中顔を合わせて、毎晩同じ屋根の下で眠っているのだ。その上彼女は美しく、ふとした拍子にひどく色気のある表情をする。
あきれ顔や仕方なさそうな苦笑いがそれで、意識しない女らしさにレネーでもそそられることがあるくらいだ。
拒むのはクリスの権利だが、そんなものを毎日見せられて焦らされるリオンは、気の毒といえなくもない。

レネーは、クリスが素直になるべきだと思う。
別にとりたてて、リオンの味方をしようというわけではない。同情すべき点もあるとはいえ、普段のリオンの態度を思えば、つっぱねられて悄然とした様子は正直、溜飲が下がる。
だが、リオンの機嫌が悪いときに、子供っぽい八つ当たりを食らうのはレネーだ。
だからレネーのために、クリスはリオンを受け入れてやるべきなのだ。

一肌脱いでやるようなことをしたのは、そのためだった。
効果はさほど強くない薬だが、クリスはもともと感じやすい体をしている。だから弱い薬でも十分だろうと踏んだ。
予想は当たったらしい。


「坊や、いくらだい?」

不意に声をかけられ、レネーははっと我に返った。
旅行者らしき男だった。まだ若く、見かけも悪くない。値踏みするように彼を眺めている。
「んー…と」
レネーは少し思案した。
どうせ帰ったところでお邪魔虫だ。
同じ部屋で二人が何をしていても、別にレネーは気にしない。が、クリスは気にしてリオンを拒むだろうし、そうなればとばっちりが来るのは目に見えている。

食事と寝床と小遣いが手に入るのは悪くないのだが…
「ごめんね。ご主人様のお使い中なんだ」
レネーは結局、困ったような笑顔を作って断った。
男もしつこく誘っては来なかった。よほど上位ナンバーでなければ、決まった主人持ちに下手な手出しはしないものだ。
あっさり立ち去る男に手を振りながら、レネーは小さくため息をついた。
わけへだてはしないたちなので、単純に比較はできないが、例えば誘ってきたのが扇情的な美女だったとしても、おそらく同じように断っていただろう。
このところめっきり、性欲が減退していた。
否、時期ははっきりしている。カナンでの昏睡の後からだ。
昏睡の原因は不明だったというし、何かしら後遺症が残ったのかもしれない。
今はまだ『減退』で済んでいるが、このまま、十三の身空で不能になりでもしたら…
ろくでもない想像に、レネーは身震いした。


SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す