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デッドエンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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デッドエンド 103

退屈していたようだから、二つ返事で引き受けるかと思っていたが、リオンは意外にもあまり乗り気でない様子だった。
「じゃあ、お前達はここで留守番しているか?別にそれでも…」
「クリスが行くんなら、おれもついてくよ」
レネーが慌てて手を挙げた。
「何日もかからない仕事だ。無理についてくることはない」
「おれはあんたの召使いなんだから、留守番しろなんて言わないで」
彼の必死な様子に、私は苦笑した。リオンと留守番がよほど嫌なのだろう。
「まあ、ついて来てくれるのはありがたい。ということだからリオン、しばらく一人で留守番できるか」
「子供じゃないんだから」
リオンは肩をすくめた。
乗り気でない様は変わらないのだが、彼は少し考えたのちにこう言った。
「俺も行きます。クリス一人じゃ心配だ」
「おれも行くんだってば」
「お前がついてる方が心配だっての」
彼はあきれたように、レネーの頭を拳でこづいた。




カナンの郊外には、大陸一の面積を持つ森林地帯が広がっている。
いくつかの山地を有し、小国が収まるほどの広大な森だ。隣国との国境線もその森の途中に引かれている。
調査員が派遣されたのは、カナン領内ぎりぎりにある山地の一つだった。

大森林は一見人を拒む未踏の地に見えるが、地図にしてみると縦横に道が引かれ、道沿いに村や宿場町も置かれている。
調査員が宿泊したという村の宿屋に、私たちもチェックインした。


盗賊や賞金首の類が、大森林に逃げ込むことはよくあるという噂だった。
掠奪によって壊滅に追い込まれた集落も、歴史的には少なくない。
だが、最近はあまり派手な活動は見られないという。数十年前のカナン市独立後に布かれた厳しい保安体制が、機能しているのだ。
つまり探索の対象は、付近の住民にも知られずうまく隠れている上、19と25の二名をしのぐ手練れであるということになる。

明朝、施設に行ってみようということだけ決めると、リオンは早々に私の部屋から退室した。
例のマッサージの件以来、レネーと私を密室に二人きりにしないように気を配っていたリオンだ。珍しいこともあるものだと、私はレネーと顔を見合わせた。
まあいいかげん取り越し苦労というか、おそらくリオンも頭では、そんな必要はもうないとわかっているのだろう。
単に習慣化していて、やめる理由もとくにないので続いていただけのことだ。


夕食どきに帰ったリオンは、なにやらどっさりと買い込んできていた。
「何これ。石灰と薬と、これ何?何かの顔料?」
レネーは木樽に詰め込まれた荷をのぞきこんだ。

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