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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ 66

その際、獅子族の戦士達は布を顔に巻いて獅子頭を隠した。
魔王国とピピとは水面下では対立を深めていたものの、表向きは未だ同盟国の間柄……魔王の臣であるタラント氏が鬼族に加担している事がピピ側に知れれば流石に不味い事になる。

…とはいえ、この事実はピピ側も薄々感づいてはいた。
ただ、明確な証拠が無いため、抗議出来なかった。
鬼族と獅子族……単体の戦闘力ならば大陸最強とも言われる二大種族が手を結び、これを敵に回したピピ=神聖ジーク連合軍は苦境に立たされた。
しかも、壊滅的な打撃を受けた上に指揮官のアーロンも戦死した神聖ジークのメッシナ駐留軍は、もはや軍としての体を成さなくなっていた。
事実上、ピピ一国で鬼族・獅子族と対峙していたのである。

そんなある日の事であった…。
ここはガヴァロ城下にある鬼族の居住地。
簡素な木造の住宅が立ち並んでいる。
そこにビリーとアリリアーナ母娘の住む家もあった。
族長の妻と娘の住居とはいえ、他の家と何ら変わらない造りの簡素な家である(ちなみに隣はミザリィとバレッタの家)。
獅子王グレンバランは族長の妻子である二人を自らの居城の一角に住まわせ客人として扱うと言ったが、二人は「自分達だけ特別扱いは無用」と丁寧に断った。

その日は(いつもなのだが)フリッツとミザリィとバレッタが訪ねて来ており、五人で今後の事について話し合っていた。
「ねえねえ聞いてよ〜。私さ、家の前に花壇作ろうと思ってんのよね〜。ほら、ここっていかにも殺風景で“避難所”って感じゃない?」
「それは素晴らしいアイディアですわミザリィおば様!」
「お母様は水晶玉が壊れて得意の占いが出来なくなってしまったから、毎日どうでもいい事ばかり考えているのですわ」
「でもそれ良いじゃない。どうせなら通り全体に植えましょう。無骨な掘っ建て小屋が建ち並んでるだけで、どうも“華やかさ”に欠けると思ってたのよね、ここ。どっかで花タダでもらえないかしら?」
「それより私達は遊び場が欲しいですわ」
「花より、すべり台とかブランコとか作ってその辺に置いて欲しいですわ」
「ちょ…ちょっと待て君達、何か大切な事を忘れてないか…?」
居住区の改造案で盛り上がる女達にフリッツが割って入った。
「へ…?」
「大切な事?」
首を傾げるミザリィとビリー。
「「分かりましたわ!」」
アリリアーナとバレッタはひらめいた。
「シーソーですわね?」
「違うよ!」
「じゃあ鉄棒?」
「全然違う!!そういう事じゃなくて、鬼族として今後どうすべきかを考えていこうよ。ここはあくまでも仮住まいなんだ。なに永住する気になってるんだよ?」
「何よ〜、偉そうな事言って、そんなだから好きな女を他の男に取られんのよ。だいたい鬼族としてすべき事って一体何なの?」

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