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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ 37

(冗談じゃない!冗談じゃない!僕は戦いを止めに来たのに戦わなきゃいけないんだ!
戦いにもなりはしない!知識と体力じゃ圧倒的に知識が不利じゃないか!アカデミーでは薬や爆弾の作り方を教えてくれても戦い方なんて…)コォン!
走るつま先が何か硬いものを蹴った。
コワンコワンコワン…
目の前に鍋が転がった。それはただの鍋ではなく初級錬金術市が練習に使う鍋だった。
フリッツは辺りを見渡した。
「…そうか、鍋釜ヤカンって…」
一方ガルラドはノッシノッシと足音を立てながらゆっくり歩いていた。
意図的に音を立てることでフリッツを追い詰めるつもりだ。
「さ〜ぁ、小僧。隠れん坊を楽しんでいるかぁ?」
広い通りを魔法街灯が薄明かりが照らす。
そこを横切る影にガルラドは建築用の丸太を投げつけた。
当たりはしたが手応えがない。
丸太に押しつぶされる物を見るとフリッツのローブにグラビ結晶が包まれていた。
「何だこれは?」
「君達が掘り出したこの村の貿易を支える貴重な資源だよ」
背後から掛けられた声に振り返るとフリッツが鍋を放り投げた。
投げつけられたわけでなく、球投げのように投げられた鍋をガルラドは思わず腹に抱えるように受け取ってしまった。
「お?なんだ?」
鍋に視線を落として改めてフリッツを見ると既にフリッツはいなくなっていた。
「ふん、仕返しのつもり…」どぼぉん!
メッシナの村の空気が盛大に震えた。
黒焦げになったガルラドはゆっくりと横に倒れた。
フリッツは鍋に少量の燃える砂と酸化すると発熱する燐を入れて密封した物をガルラドに投げたのだ。
まさか受け取るとは思わなかったが、おかげで一発で勝負がついた。
ぱっと見気付かなかったが、良く見たらそこかしこに小さな素材が転がっていた。
おそらく荷車などから毀れたものだろう。
しかし、鍋が転がってるのは幸運だった。果たして幸運なのか、不自然すぎないかとフリッツは首をかしげた。
村の人間や鬼族は、外者が勝ったと湧き上がった。
もっとも、決闘はお祭り事でどっちが勝っても盛り上がる。しかし、ぴりぴりした空気の中ではいい息抜きになった。
「おがぁぁぁ!」
雄叫びと共にガルラドが目を覚ます。
「まだだぁ!まだ負けてはいないぞぉ!」
「そこまでです」
凛とした声が響く。
そこにいた者の視線が声の主に集まる。
そこには3人の女戦士を控えた女大将に身を包んだビリーがいた。
騒然とする中、ガルラドは負けていないと食いつくが、護衛の女戦士に水月を疲れ再び地に伏すと、野次馬達がまた歓声を上げた。
ビリーの登場に重なって完全にお祭り騒ぎになった。

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