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魔物使い
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔物使い 3

がっくりと項垂れるミル。そんな感情豊かな姿を見ると時々コイツがゴーレム(無生物)ということを忘れてしまう。

「…あ。ところでマスター、今思い出したのですが」
「ん?なんだ?」

ミルはふと何かを思い出したようで、にっこりとこう言った。

「お手紙が届いてました。三日前に」


………時々思うんだが、コイツの頭のネジは緩んでいるどころか吹っ飛んでいるんじゃないか?

そんなことを思いながらため息を一つついた。



『面白いモノが出来た。来い。―リュース―』

主語が抜けてるぞ、主語が。

「…ったく。相変わらずだな、リュースは」
幾度目かのため息をつくと俺は出掛ける準備をする。ミルを考えているであろう、恐らく急ぎではないはず。

…とは言うものの、既に三日も過ぎている時点で何かしらおかしいと思うのが普通だが…

「…まぁ、ミルだし」
その一言で彼女には説明十分である。

「おいミル。リュースの所に行って来るからその間に屋根の真下、掃除しとけよ」

「え…?屋根はどうしますか?」

「また落ちたら敵わん。俺がやっておく」

「……ぁう」


がっくりと肩を落とすミルを後目に俺は扉を閉じた。


雲も疎らで快晴と呼ぶに相応しい空。
小高い丘にぽつんと立っている少々大きめな我が家(借家)。隣には更に大きな小屋がある。
やや広めな庭を歩き、簡易な柵に拵えたこれまた簡易な門を開いて俺は軽く伸びをする。
門の脇には居住者たる俺の名前『ジェナス』……と、小さく『ミル』の文字。
「……うっし。さっさとリュースんとこ行くか」

歩けば二時間程度だったか。
久しぶりの外出に俺は少しだけ、いつもと違う『日常』を期待してリュースの家に向かった。


………彼女に会うことで、俺の人生が劇的に変わるとは知らずに。

―※―


ジェナス・ロッド、19才。
職業、魔物使い(モンスターティマー)。

これは、後に『魔物の主』と呼ばれることになる一人の青年の物語。


彼が『異名』を持つまでにどのような苦難が待ち受けるのかは、まだ誰も知らない……。

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