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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 81

瓶を運んだのは、カリンカだった。
カリンカはファニーにこっちを向くように言った。
「早くしなさい、でないとまたクラゲを産んで貰うわよ」
しかたなく、起き上がるファニー。
見てみると、カリンカと大きな瓶が置いてあった。
「なんなのこれ」
ノロノロと体を動かしながら瓶を覗き込む。
そこには海水の中をふわふわと泳ぐ、子クラゲが3匹いた。

「これはあなたが産んだ子クラゲちゃんよ」
「な、別に産んでないわよ」
「そうかしら、血はつながって無くてもあなたの栄養を吸って大きくなったのだから、あなたの子だと思うのだけど」
平気でおぞましい事を口にする女医。
「とりあえず、この子をどうするか母親の意見が聞きたくてね」
「意見ですって、別に何も無いわ」
無論ファニーには母親の自覚なんて無いから、子クラゲをどうこうし様が勝手にすればいいことだ。
「あらそう、可愛そうに母親に見捨てられたのね。じゃあこの子達の運命は、クラゲ酒に決定ね」
「そんな、!!」
クラゲ酒にすると聞いて、いささか慌てるファニー。
いくら怪物の子でも、見捨てるのは忍びない。
それに良く見ると、ふわふわして可愛らしいし、殺すのは可哀想に思えた。




その頃ティーエたちは、倒れたライズに代わり二人で漕いでいそいで塔へと戻っていた。
合流したアンナの回復魔法でライズはとりあえず立ち上がれるようになった。
「残念ながら船に追いつくことは出来ませんでした。ここからだと、海賊が寄れそうな近い港というと、バンドーン、ルーグの2つですね。」
「捕らえた連中はどうする?」
「バンドーンはルーグの向こうです。そして彼らはドランの衛務官に引き渡しましょう。その上で急ぎましょう。」
ドランから馬で北に2昼夜飛ばすとルーグに着く。ルーグは国境近くに在るドーリスの街であり、ルーグから海岸沿いの街道を人が歩いて1日のところに、都市国家のバンドーンが存在する。
「そうだな、急がないとな…」
(姫さん待っていろよ、必ず助け出すからな)
ライズは痛む体にムチ打って立ち上がり、新たな決意を固めた。

さて、一方のファニーの方はというと、カリンカのほうから自分が産んだ子クラゲの処分について、嫌がらせのような質問を投げかけられていた。
はじめは嫌悪感しか感じなかったが、ふわふわと水に浮かぶ子クラゲたちを見ると、クラゲ酒にされるのは可哀想に思えた。
「ちょっと待ってよ、いくらなんでもかわいそ過ぎない、せっかく産まれたんだもん、このまま逃がして上げなさいよ」
いくらモンスターでも、生まれたばかりの命を見捨てることなどできなかった。
その返事を聞いて、カリンカはまた意地の悪い笑みを浮かべた。
「そうよね、可哀想よね。じゃ逃がしてあげるね」
そう言って船員達に瓶を運ばせると、そのまま出て行った。

「ウフフフ、初心で可愛いわね。こんなクラゲにまで同情するなんて良い子なのかしら」
口では誉めてながらも、その口調は完全にファニーを馬鹿にしたものだ。

「先生、こいつはどうします」
船員が瓶さして指示を仰ぐ。
「当然、クラゲ酒にするに決まっているじゃない。あとであのファニーという娘に飲ませるのよ」
「へい、わかりやした」
「あのお嬢ちゃんが驚く顔が目に浮かびまさ」
男達も楽しげに笑う。
そのまま瓶を厨房へ運ぼうとしたが、そこで目を疑う光景を目撃する。
何と子クラゲが、触覚を使って瓶をよじ登り逃げようとしているのだ。
慌てて船員が捕まえようとするが、逆に毒針を刺されて撃退されてしまう。
「なんなのこれ…」
カリンカもただ呆然とするだけだ。
そのまま子クラゲたちは、たまたま開いてた窓から逃げ出していった。
信じられない光景にカリンカはしばし硬直していたが、不意に重大なことに気づいた。
(考えてみると痺れクラゲの卵が孵化するには一週間はかかるはず、それをあの娘はたった1日足らずで孵化させた。それにあの尋常でない動き)
あの娘には何かある。そう確信したカリンカだった。
半日後、船はルーグ港についた。
あれからファニーはカリンカから栄養剤と新しい下着と服を与えられた。
その後ほとんど寝て過ごしたので、何とか体力は回復した。
ただ武器を取り上げられた上、手を後ろに回され縛られているので抵抗がまったくできない。
さらにフローラ姫と侍女のミストもいるので、彼女を見捨てて逃げることなどできない。
「ここがルーグなの・・・」
タラップからおりたファニーは信じられない光景をみた。
なんとモンスター達が街を堂々と闊歩しているのだ。
種族もミノタウロスやリザードマン、ゴブリンやケンタウロス、中には二足歩行でなく四つ足や触手などの者も堂々といるのだ。
さらにファニーを驚かせたのは、街の女性たちだった。
皆全裸かそれに近い下着姿で首輪に繋がれているのだ。
さらに近づくと女性達の様子が判ってきた。
乳首にピアスをした者、刺青や焼き印を入れられた者、そして赤ん坊をそれもモンスターの子を抱えた者。
「どう、あれがあなた達の未来よ」
カリンカの言葉に、さすがのファニーも怯えるほどだった。

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