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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 221

ジェンスにとって一番大事な事は、トルシア王家の復興でありライズの身の安全だ。
もしライズが武運つたなく果てることになれば、トルシア復興は夢となって消える事になる。
いくらファニーがモンデール王家の姫とはいえ、ライズを危険に晒す事など出来なかった。
だがライズもここで引くわけにはいかない、ファニーは自分が護ると騎士の誇りにかけて誓った相手なのだ。
必ず救い出さなければいけない。
それにファニーを救い出さなければ、いくらヘンドリック王がこちらに好意を寄せているとはいえ、ただで十数万の難民を受け入れてくれるとは思えない。
それにはファニーを救い出すと言う土産を用意しなくてはいけない。
「ジェンス、ここにいる民にためにもファニーを救う必要があるのだ。頼むから協力してほしい」
だがジェンスも引き下がらない。

「殿下、その脱出計画ですがやはり無理があります。ここより南にはオルブレド山脈があります。唯一の通路であるトゥルーズ地峡には魔王軍の関所があります。プレグナンス大森林の地下水路も既に魔王軍の知るところにあります。モンデールに行くのは不可能です」
そう例え魔王軍の目を逃れても、自然の猛威が立ちふさがるだろう。
1人2人の少人数ならともかく、十数万の難民の脱出など不可能だった。
「むう……」
確かに言われてみればそうだった。
魔王軍の監視の目をそらす事だけを考えて、脱出経路や移動手段まで考えてなかった。
「もちろんファニー王女やレイたちを救いたいという気持ちは分かります。ですがみすみす罠に陥る事も無いでしょう。ここは様子を見て相手が本当に油断するまで待ちましょう」
「何もしないと言うのか」
なにもせずただ手をこまねくなど、無策に極みではないのか。
「待つのも戦術の一つです。幸い魔王軍はファニー様を直ぐに北へ送る気は無いようです。プロアには王城をはじめ幾人のも間諜がいたるところに配置されているので、彼らと協力すれば姫の奪還は容易かと思われます。ここはご自重ください」
ジェンスは何故ファニーがプロアにとどまる事になるのかをあえて説明しなかった。
説明すれば直ぐに飛び出してしまう事が容易に想像できたからだ。
その後も話し合いは続いたが、平行線のまま決着はつかず、その日は物別れとなった。

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