妹(スール)は男の娘!? 8
心を落ち着かせようとして栞さんが入れてくれたお茶を飲む。
…緊張のせいで甘さすらわからなくなっている。ちょっとやばい。
こんな精神状態は人生で初めてだ。
「翼ちゃんだっけ」
「は、はひ」
声が上擦った。ちゃんと喋れてるかどうかも怪しい。
まだ優子さまが心配そうに見つめている。
「それにしても可愛いよねぇ」
「学年で一番、って噂もありますからね」
恵さまにそう言う栞さん。そんな噂、俺知らないですけど!
「私の妹になんなさい。てか、なっとけ」
「は!?」
恵里さまの意外な発言に思わず素になる。美形だしこの中で一番スタイルが良いかもしれないけど、
このお嬢様学校にはいそうにないタイプだ。
「スールがいないと都合悪いでしょ?翼ちゃんの場合」
「ところでお茶はいたただいたわよね?」
「はひっ」
「ごめんね、翼」
「ごきげんよう」
なぜか恵さまと恵里さま以外は部屋から出て行ってしまう。
栞と恵さまはせいせいしたような顔で、優子さまは落胆したような表情が忘れられそうにない。
女性社会の残酷さを見た思いだ。
「ごらんなさい、翼ちゃん」
「私の妹の特権よ」
背が高くて髪が短くて凛々しく見える恵さまが制服スカートを自らめくって純白で高級そうなレースを多用したハイレグのショーツを見せ、
生徒会でナンバー1の巨乳であろう恵里さまは制服の三角の胸当てをとって胸の谷間を魅せつける。
鳳桜の制服はワンピースでスカートも長いから、絶対セクシーショットは拝めないと思っていたのに、早くもそんな俺の先入観が破られる。
「やっ、やだ…」
この学校に入ってからは排尿の時以外はないものと思わないといけない場所が反応している。
俺の男の証だ。女子校の生徒として最も悟られてはならない。
男とバレることは破滅を意味しているのに、しっかりと主張している。
「お茶に入ってたの。元気になるお薬」
「失神してる間に恒例の下着チェックさせてもらったんだ。
女の子にないはずのものがあるみたいだから、深雪がどういうことだって栞にね。
それで、栞が歩に白状させたの」
歩でも庇いきれなかったのだろう。理事長の孫娘だろうと、生徒会全員を敵に回すと学園生活も厳しくなるのは明らかだ。
今や勃起していることもバレてるみたいだし、まな板の鯉も同じだ。
「実は俺…」
「私、でしょ?」
「私…歩の家に拾われて、理事長に命令されてこの学校に」
俺はなぜここにいるか説明する。お嬢様たちに母親に捨てられた子とか歩の祖母に逆らえない状況など理解できないかもしれない。
「で、歩の妹なの?」
「じゃあ、歩に奉仕するためにこの学校にいるの?バター犬ね」
俺が変態や将来性転換を希望するタイプでないと伝わったと思ったら、今度は歩のペットのように思われてる。
「違います!」
「じゃあ、童貞?」
「女で反応するなら合格!」
クールなボーイッシュとグラマーなギャルがお嬢様学校の生徒とは思えない反応だ。
失神してる間に俺のスカートの中を見た時、思わず鼻血を出したんじゃないかと思う。
「男なのに、妹にしたいんですか?お姉さま達が理解できません」
「かわいいから、オッケー!」
「当然!レズじゃないから」
二人が妹を持たない理由がわかった。お嬢様でもエロ過ぎるタイプだ。
同性には興味ない分、イレギュラーである俺を絶対に逃さないつもりだ。
そんななら、女子校なんか選ばなければよかったのにと思う。ビッチはビッチらしくあるべきだ。できれば、俺の前に現れてほしくなかった。
「歩は頼りにならないわよ。モブだし、そんなにかわいくないし」
「私たちならいろいろフォローしてあげれる。バレるのはお互い損だし」
二人は自分たちこそが姉にふさわしいと説き始める。
確かに、さっき出て行った人達は俺の男の部分には興味が無いけど、この二人は俺が妹にならないと言ったらバラすかもしれない。ここで異性に強い興味をもつのは異端なのだろう。
「じゃあ、どうすればいいんですか?お姉さま」
「自分で見せるのよ」
「女装だろうと、同じ年代ってのがいいの。早く」
「あっ、先にシ、パンティ脱ぐの。男の子はそういうんでしょ?」
俺は言われたとおり、先にパンティを脱いでからスカートの裾をつまんでそって捲り上げていく。
「これで隠れるぐらいなら普段は小さいでしょ?」
恵里さまは俺が脱いだパンティを指でクルクルしている。この貪欲さは神様が間違って女性にしたのかもしれない。
「モブの歩が見てない所を私が先に拝めるなんて奇跡だよ」
恵さまに至ってはセンターカラーを解いてワンピースのスカートの部分を上にたくし上げてハイウエスト風にしてリラックスしている。
ボーイッシュで同性から熱い視線を浴びたこともあるだろう彼女のイメージと真逆だ。