新学期から学園のシステムを変えたんですよ 2
上森優佳里。
家とは目と鼻の先にある家に住んでいる幼なじみだ。妹とも仲の良いお姉さんって感じ。偶然会ったから渡してくれたのだろうが別に直接渡しに来てくれてもいいのだぞ、ツンデレさんめ。
「で、なになに…」
時間割やらもろもろのスケジュール確認表やら、必要なものがそろっている。教科書はまとめてロッカーに入れてあるからね、などと手書きのメモも残されている。ありがたや。
「で、これは…クラス名簿?」
一応僕が何組で誰と一緒なのかわかりやすくしてくれたのだろうが……ちょっと待て。
「なんだこれ、僕以外全員女子じゃね?」
ウチの高校は男女比5:5のはずでは?いったい何が起こった?
名前を見ると、当然一年生の時から同じクラスだった女子は何人かいたが、まったく名前を聞いたこともない女子も結構含まれていた。
優佳里にメッセージを送る。このクラス構成どういうこと?と
“明日行けばわかる”
優佳里はそれしか答えてくれなかった。
夕食は妹二人が作ってくれて、僕は皿洗いくらいやればあとは特に生活に困ることはなかった。
そして、翌朝。
僕はプリントで指定された場所に行く。
『二年一組 男子更衣室』
その扉にはそう書いてあった。ちなみにその隣には『二年一組 女子更衣室』があって、次々と、クラスメートになるのであろう、女子が入っていった。
僕は扉を開けて入った。ロッカーが一つだけと、なぜか机といすが置いてある、細長い部屋。
突然、壁だと思っていたところが動いた。
「ようこそ。私が、担任の、深江夕樹です」
壁の向こうから現れた女性がそう名乗った。長身のジャージ姿の担任。
「あの、ここって、男子更衣室では?」
「そうなんだけど、そう見せかけている、って面もあるの」
先生は書類を取り出した。
「キミが同意すれば、キミはこれから保健省の秘密実験に参加することになります」
「秘密実験、って何ですか?」
「まず、この秘密保持の誓約書にサインしたら説明します」
「サインしなかったら?」
「サイン拒否なら、キミには、転校してもらいます」
!?
いきなり迫られる究極の選択だった。
「て、転校って、僕だけ、ですか」
「はい」
それはちょっと…『男子更衣室』なる部屋が名前だけのモノということは、今、この学校にいる男はおそらく僕だけなのだろう。心許ないけど、逆に考えたら…
「じゃ、じゃあ、サイン、します」
「はい。ありがとうございます」
誓約書―と言っても名前と日付をかくくらいの簡素な紙―にサインすると、彼女、夕樹先生はおもむろに自分の着ているジャージを脱ぎ始める。
そうして、夕樹先生は一気にブラジャーとパンティしか身に付けていない状態になってしまった。僕は目をそらした。
「では、秘密実験について説明します。この学校は、今年度から少子化対策実験校になり、それに同意した人だけが在籍しています…このクラスは、いわゆる、ハーレムの実験を行います。同意しない場合は、その秘密を守って、転校してもらいます」