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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 161

「あらあら…」
平の涙に紫穂は袂から清潔感ある白いハンカチを取り出し、平にかがむと涙を優しく拭き取った。
「ほら、もう泣かなくてもよろしいのよ」
明らかな子供扱いに出雲はまた平が癇癪を起こすと肩をすくめたのだが…「うん…」
平は安堵したような表情を浮かべ頷いたのだった。
「もう!甘いんだからっ」
腰に手をあててむくれている真奈美をよそに紫穂は柔らかな笑みを出雲にも向けた。
「甘いお菓子を持ってきてありますの。よろしかったらご一緒にいかが?」
任務中にも関わらず、甘い申し出に少しくらいなら…と出雲の足は紫穂の後をフラリとついていってしまった。
一方、主姫、刀機、みことの3人も熊野大社に着いていた。
「本当にあるんだろうな?」
「刀機君、少しは信頼してくれてもいいんでないの?」
刀機の凄みのある口調でも、みことのペースは変わらない。
「刀機、さっきから三回目よ、確認するの。」
主姫は落ち着いている。
「そうそう、ちょっとしつこいよぉ?この先の本殿の所であの子と待ち合わせしてるんだし。罠でも、君たち二人のタッグにかなう相手なんて、そうそういないじゃん。」
「あの子。誠一のお母様。確か名前は紫穂さんでしたかしら。」
「そうだよぉ。」
「む」
出雲が短い言葉を放る。
「どうした?出雲」
若干目が赤くなった平が尋ねた。
「いや、ちょっと見てくる。お前は先に行って菓子でも摘んでろ。巫女さん、宜しくお願いします」
そう言って出雲は走り出した。
今、見知った人影があった気がしたのだ。
「…陸軍…刀機」知らず知らずのうちに口に出していた。
そして出雲の記憶と目は確かだった。居た。記憶の通りの男が。
軽そうな性格の少年と、鋭い視線の美女の間に、そいつは、居たのだ。「陸軍…刀機…ミネルヴァの裏切り者…で間違いはないよな?私はそう教えられてるんだが」

「知り合い?」
みことが尋ねる。が、
「これは俺の問題だ。俺で何とかする。先に行け」
と刀機はつっけんどんに返した。
「そうですね。これは我々の問題ですから、部外者がいるのは好ましくない」
出雲もそれに賛同する。
「えっ、でもさ」みことが何か言いかけるが、
「いいじゃないですの。そう言ってることですし」
そう言って主姫は歩きだした。
みことは何か言いかけたが、結局
「必ず追いついてね」
とだけ言った。
「だとしたらどうだと言うんだ?」刀機は否定も肯定もしない…「みこと、おかしいわ…いつもの彼と雰囲気がちがう…」みことはうっすらと笑みを浮かべ「ふふん…草薙剣が近いからね…雌剣草薙が彼を力へと誘惑しているんだ…それごときに打ち勝てないようでは神剣の前に立つ資格すらないね…」

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