学園の牝 28
内心では恐ろしくて仕方がないだろうに、それでも一歩も引こうとしない沙絵の姿勢に、静はとうとう折れた。
「ふぅ・・・。沙絵ちゃんわかったよ、私の負け」
激しいまでの敵意が消え、静の表情が優しくなる。
「えっと、ユウチャン・・・だっけ?
ゴメンね?このコ、普段が普段だからつい、さ」
「いえ、わかってもらえれば、それでいいです」
「私は麻生静。ここの2年だよ」
静はそう言うと自然の動作で、右手を差し出す。
意図を汲み取った悠はその手をつかんで自己紹介する。
「ぼくは桐生悠。進学科の一年です」
それが和解の合図となった。
だが沙絵も誤解が解けてホッとしつつも、まだ安心した表情を見せていなかった。
それは彼女の性癖が大きく関係しているからなのだが、この時の悠にはそんなことなど知る由もなかった。
「所でね…君、私を専属奴隷にしてみない?…勿論、私を満足させられたらの話だけど…」
和解した静からの以外な提案に悠は驚く。
「私としたら『ご主人様』と呼べる人は、当然、躯を満足させてくれる人なんだけど……心の部分、私が生涯忠誠を誓えて守りがいのある人と言う事も重要なの…その点では君ならいいかなと思うけど、後は実際に躯を満足させてくれるかどうかね……私を満足させてくれたら、私は君の最も忠実な牝奴隷になるわ」
「ちょ、ちょっと待ってください!
何でいきなりそんな話になるんですか!?」
「お、お姉さま!」
さっきまで女の敵に見られていただけに、悠と沙絵はあわてて反論する。
何より悠としては、愛のない、性欲処理のための専用奴隷なんてゴメンであった。
「んー・・・。そうだね、しいて言えばキミがかわいくて、沙絵の認めたご主人様だから、カナ?」
あまりの豹変ぶりに呆気に取られる悠。
そんな彼を魔の手から守ったのは意外にも沙絵であった。
「だ、ダメです!たとえお姉さまのお願いであっても、それだけは聞けません!」
「沙絵ちゃん!?」
「それにお姉さまが悠ちゃんの専属奴隷になったら、他のお姉さまたちはどうするんですか!?」
『お姉さまたち』・・・その発言に、悠はなぜ静が特別教室にいるのか、わかったような気がした。
おそるおそる、悠は沙絵に尋ねてみた。
「ち、ちょっと沙絵ちゃん?もしかして、静さんって・・・」
「・・・うん。悠ちゃんの考えてる通り。
静お姉さまは男のコも女のコも大好きなの。