学園の牝 108
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そして舞台はいったん現代に戻る。
「・・・まさか許婚なんて約束を律儀に守ってるから、なんてわけじゃないよな?」
「違いますよ。もうお忘れなんですか?
私の処女をお召し上がりになった、あの時のことを・・・」
見当はずれの答えに少々機嫌を損ねながら、明日香はなぜ自分が浩二に尽くすようになったのか、その理由を話し始めた。
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明日香が浩二の先約奴隷になってから、2人はいつも行動を共にするようになった。
正確には浩二が明日香を引き連れて行動するようになったと言うべきか。
出会ったばかりの頃の明日香は人見知りが激しく、気が弱かった。
そんな明日香を浩二は強引に引き回し、ある日、浩二は年上の明日香を本気で泣かせてしまった。
別に浩二がひどいことをしたわけではない。
ただ遊びに行った先で、ちょっと離れ離れになってしまっただけなのだ。
たったそれだけのことで明日香は泣きじゃくり、浩二が戻ってきたときは『怖かった』と何度も言いながら幼い浩二にしがみついた。
どっちが子供で年上なのかわからなくなるその光景に、周囲の人間は戸惑うばかりであった。
そしてその夜。
ふとんの上で、浩二はまだ泣いている明日香をあやしながら、なぜそんなに怯えているのかたずねることにした。
「ねえ、明日香。なんで明日香はあの時あんなに泣いてたの?
何が怖かったの?」
それは子供ならではのストレートな質問。
明日香は答えをためらうが、ご主人様の命令にポツリポツリと語り始めた。
「わっ・・・私っ、男の人が怖いんです。
ちっ・・・小さい頃、おっ・・・男の人に怖いことされたから・・・」
何でも明日香によると、彼女は小さい頃に幼女趣味の男に襲われ、男性恐怖症になったらしい。
産めよ育てよと子作りを推進している社会でも、許されないことはいくつかある。
その1つが幼女趣味、いわゆるロリコンである。
性的に未成熟な子供を襲うことは、純真な子供の心を傷つけるだけでなく、子作りに支障をきたすとして厳しく禁じられている。
しかししょせん法は法。
どこにでもルールを破るバカはどこにでもいるわけで。
明日香はそのバカの毒牙にかかってしまったとのことだった。
以来、彼女は男性に対してひどく怯えるようになり。
同級生はおろか父親でさえダメになってしまったらしい。